演題

回腸腸間膜の重複腸管に発生した粘液性嚢胞腺腫の1例

[演者] 高橋 梢:1
[著者] 福島 啓介:1, 山田 修平:1, 並木 健二:1
1:大崎市民病院 外科

【はじめに】消化管重複症は稀な先天性疾患であり, 多くは小児期に症状とともに発見されるが, 成人での発見例は比較的稀である.その診断は, 1)消化管に隣接する, 2)平滑筋を有する, 3)内面に消化管上皮を認める, などでされるが現在では消化管と隣接しないものや筋層を共有しないものも本症の範疇に含められている.
【症例】54歳女性.右腰痛を契機に腹腔内嚢胞性病変がみつかった.CTで長径60mmの単房性嚢胞性腫瘤を認めた.MRIでは内部T2高信号であり, 充実性成分は認めなかった.右卵巣腫瘍の診断で摘出術を施行した.術中所見では, 卵巣は両側とも正常であり, 腫瘍は末端回腸腸間膜に位置していた.回腸との交通は認めず, 腸間膜腫瘍として腫瘍切除術を施行した.切除標本の肉眼検査所見は70×40×30mmの単房性嚢胞病変で, 内部に粘液の貯留を認めた.組織学的には, 嚢胞壁は主に線維性結合組織から成るが, 一部で平滑筋を伴う2層構造を認め, 筋束間にはAuerbach神経叢に類似した神経細胞も認めた.粘膜は消化管上皮(特に大腸)に類似した上皮に覆われていた.自験例では, 腫瘍は正常腸管と離れた腸間膜に存在しているが, 腸間膜嚢腫とは平滑筋を有している点で異なり, 球状非交通性重複腸管と診断した.また, 嚢胞内腔の腺上皮は管腔構造が消失し胞体内には粘液が含まれており, 粘液性嚢胞腺腫と診断した.
【考察】重複腸管と粘液性嚢胞腺腫の合併は稀であり, 若干の文献的考察を加えて報告する.また,重複腸管はmalignant potentialが高く, 治療は外科的切除が原則とされる.粘液性嚢胞腺腫を合併した場合腹膜偽粘液腫にも発展しうる病態であり, 手術時は被膜損傷に留意する必要があると思われた.
詳細検索