演題

回腸に発生した重複腸管由来の粘液嚢胞線種の1例

[演者] 田子 友哉:1
[著者] 笠原 健大:1, 和田 貴宏:1, 桒原 寛:1, 松土 尊映:1, 榎本 正統:1, 石崎 哲央:1, 久田 将之:1, 勝又 健次:1, 土田 明彦:1
1:東京医科大学病院 消化器外科・小児外科

症例は63歳男性.腹部膨満感を自覚し,近医の腹部超音波検査で左下腹部に60×48×45㎜大の腫瘍を指摘され精査目的に当院受診となった.CEA 6.4ng/ml,CA19-9 65.3U/mlと腫瘍マーカーは軽度高値であった.腹部造影CT検査で小腸と連続する腫瘤性病変,造影MRIで嚢胞性腫瘤像を示し,内部に造影効果及び拡散強調像で高信号を示す壁在結節を認めた.Tcシンチで異常集積は認めずメッケル憩室は否定的であった.以上より,malignant potentialを有する腸間膜嚢胞性病変を疑い,診断的治療目的に手術の方針となった.術中所見は,回腸の腸間膜内に緊満した弾性硬の腫瘤性病変を認め,一部穿破した箇所からゼリー状粘液の漏出を認めた.鏡視下に腫瘍を含めた小腸部分切除術を行い術後8日目に退院した.病理学的所見は,線維性被膜に覆われ内部に多量の粘液を含む多房性嚢胞性病変であり,嚢胞壁内腔は粘液産生性の軽度の核異型を伴う高円柱状腫瘍細胞に裏装されていた.免疫染色では,CDX-2が部分的に陽性であり,Ki67が一部で20~30%の染色率を認めた.さらに,近傍の回腸と共有しない2層性の平滑筋組織を有することから,分離型の重複腸管由来の粘液嚢胞線種と診断した.粘液内には浮遊する腫瘍細胞を認め,手術時に既に穿破していたことから腹膜偽粘液腫の併発を念頭に経過観察中であるが,術後1年無再発生存中である.重複腸管由来の腹膜偽粘液腫の報告は検索した限りでは本邦で3例,海外で2例のみである.今回我々は,重複腸管より発生した粘液嚢胞線種という稀な疾患を経験したため,文献的考察を加えこれを報告する.
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