演題

食道癌根治切除術後の臨床病理学的再発予測指標 -リンパ節転移節外浸潤- と局所再発に対する治療戦略

[演者] 岡田 尚也:1
[著者] 佐藤 中:1, 堀切 康正:1, 佐藤 琢爾:1, 藤原 尚志:1, 藤田 武郎:1, 海藤 章郎:1, 木下 敬弘:1, 小島 隆嗣:1, 大幸 宏幸:1
1:国立がん研究センター

【背景】
固形癌根治切除術後のリンパ節転移陽性は有意な予後予測因子であるが,リンパ節転移陽性でかつ節外浸潤(以下Ex)を伴う場合の予後・再発への影響は未だ明らかにはなっていない. また再発例に対する治療戦略としても本邦では一定の結論が得られておらず,再発形式・部位によって治療方法も異なり,生存率も極めて不良という現状である.
当施設における食道扁平上皮癌術後のExの有無と浸潤範囲,さらにはEx陽性となる頸部・胸部・腹部の領域別に再発・生存期間との関連性を検討し,再発予測指標としての有用性を評価した.さらに食道癌術後遠隔転移を伴わないリンパ節局所再発症例に対する当施設における治療成績を確認する.
【対象・方法】
2010年1月から2013年12月に当院で食道癌根治術を行った446例のうち,術後病理組織結果にて組織型が扁平上皮癌でかつリンパ節転移陽性であった175例を対象とした. (1)Ex陽性とEx陰性(2) 浸潤範囲をGrade1;リンパ節被膜より1mm以内,Grade2;1と3の中間,Grade3;転移癌細胞によりリンパ節構造が崩壊,の3段階にGrade分類(3)Ex陽性の頸部・胸部/腹部 それぞれの群における各因子と再発・生存期間との関連を解析した.
【結果】
(1)Ex陽性118例/Ex陰性57例 生存期間中央値(月)はEx陽性20.0/Ex陰性25.2であり,統計的有意差が認められた(p=0.0046).多変量解析においてもEx陽性は独立した危険因子であった(p=0.038) .(2)Ex陽性の浸潤範囲Grade分類の結果,それぞれGrade1;39/Grade2;47/Grade3;32(例)であった.各Gradeの生存期間中央値(月)はそれぞれ25.4/19.5/14.4であり,Grade2以上はEx陰性と生存率の比較において有意差が認められた(Grade2;p=0.0056/Grade3;p<0.001) (3)頸胸部においてはGrade2以上(p=0.011),腹部においてはGrade3以上(p=0.02)が危険因子であった.
【リンパ節局所再発・治療成績】
外科的切除を施行した9例は,全例が頚部リンパ節再発であり,再発までの期間が6.3ヶ月,OS 35.8ヶ月,化学放射線療法(CRT)を施行された30例は,再発までの期間は8.5か月(3-80ヶ月)であった.治療効果は奏効率(CR+PR)が73%,PFS/OSが中央値8.4/17.5か月,5年PFS/OSが23%/35%であった.
【結論】
リンパ節転移節外浸潤陽性は食道扁平上皮癌術後の再発予測因子となり,さらにGrade分類によって頚胸腹領域別に再発予測指標となり得る可能性が示唆された.また,食道癌術後のリンパ節局所再発に対するCRTは有効な治療方法である.
詳細検索