演題

リンパ節転移を伴った小腸GISTの一例

[演者] 清水 亘:1
[著者] 清水 洋祐:1, 尾上 隆司:1, 檜井 孝夫:1, 首藤 毅:1, 鈴木 崇久:1, 伊禮 俊充:1, 田代 裕尊:1, 斎藤 彰久:2, 倉岡 和矢:2
1:呉医療センター・中国がんセンター 外科, 2:呉医療センター・中国がんセンター 病理診断科

【はじめに】GISTのリンパ節転移は稀で,GIST全体で約2.1%,小腸GISTでは約1.0%との報告がある.今回我々は,リンパ節転移を伴った小腸GISTの1例を経験したので報告する.
【症例】59歳,男性.貧血精査目的にて前医入院.CT検査で小腸腫瘍が疑われ,精査目的にて当院内科転院.カプセル内視鏡にて空腸に潰瘍を伴う粘膜下腫瘍が存在.経口ダブルバルーン小腸内視鏡では空腸に同様所見を認め,生検施行.類上皮様異型細胞を認め,免疫染色にてDOG1/c-Kit/CD34/Vimentin陽性.GISTと診断.CT検査では空腸に63×53mm大の腫瘤を認め,近傍の腸間膜に約12mm大のリンパ節腫脹を3個認めた.以上より空腸GIST,腸間膜リンパ節転移疑いと診断.手術目的にて外科転科.開腹手術を選択.Treitz靭帯より35㎝の空腸に腫瘤を認め,近傍の小腸間膜内に3個の腫大リンパ節あり.小腸部分切除+リンパ節摘出術を施行.病理結果は,粘膜下層から固有筋層内に,大小不同を伴う類円形あるいは楕円形の大型異型核と豊富な好酸性胞体を有する腫瘍細胞が敷石状増生,一部で紡錘型の腫瘍細胞の錯綜状増生が見られた.50高倍率視野中核分裂像を1個認め,免疫染色にて腫瘍細胞はビメンチン,c-kit陽性を示し,avki-67 labeling indexは3.66(39/1067)で,GISTと診断.また3個のリンパ節中1個にGISTの転移を認めた.術後経過は良好,第7病日に退院.現在は外来にてイマチニブによる補助療法施行中で,術後4か月,無再発である.
【考察】検索しうる限りでは,本邦にて小腸GISTで同時性リンパ節転移を認めた症例は14例で,本症例が15症例目であった.うち会議録を除いて論文化されている6例を検索すると,術前にリンパ節転移が疑われた症例は,1症例のみで,その他の症例は術中にリンパ節腫大を認めた症例であった.GISTのリスク分類では,Modified Fletcher分類を使用すると4例が高リスク群で,2例は低リスク群であった.6例中1例が同時肝転移を認め,4例が肝転移再発(うち1例はその後局所再発も発症),脳転移再発1例を認めており,リスク分類にて低リスク群であった2例中1例は肝転移再発を認めていた.イマチニブによる補助療法は,全症例が保険適応前であったため,施行されていなかった.
【結語】リンパ節転移を伴う小腸GISTは,極めて稀であり,予後不良と考えられる.しかしイマチニブによる補助療法の効果に対する報告は無いため,本症例を厳重にフォローして行きたい.
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