演題

中腸軸捻転を伴い穿孔性腹膜炎を来した小腸gastrointestinal stromal tumor (GIST) の一例

[演者] 根塚 秀昭:1
[著者] 芳炭 哲也:1, 伊井 徹:1, 田中 茂弘:1
1:滑川病院 外科

【症例】53歳女性.
【家族歴】第1児 ダウン症(32歳時死亡),第2児 精神薄弱症
【現病歴】2016年4月,1週間前から出現した腹痛を主訴に当科受診した.腹部造影CTでは多量のフリーエアと,下腹部に内部気体と液体貯留を伴う大きさ15㎝の腫瘍性病変を認めた.また肝S4に造影効果を伴う腫瘤と,上腸間膜動脈(SMA)を軸としたwhirl signを認めた.血液検査では,WBC20000/μL,CRP30mg/dlと高い炎症所見を示した.穿孔性腹膜炎,腸管軸捻転症,肝転移を伴ったgastro-intestinal stromal tumor (GIST)と診断し緊急手術を行った.
【手術所見】開腹すると,回腸末端部より120㎝の小腸間膜側に小児頭大の腫瘍を認めた.腫瘍は一部穿孔,膀胱浸潤を伴い骨盤底に固定されおり,この腸間膜を軸として180度の時計回転の腸管軸捻転を来していた.膀胱の一部を合併切除し腫瘍摘出術を行った後に腸管を整復すると,盲腸から横行結腸が固定されておらず(malrotation),捻転の形式としては中腸軸捻転を来した状況であった.
【病理組織所見】紡錘形細胞の増殖とpalisading patternを認め,c-kit陽性,CD34陰性,出血と壊死を伴ったhigh risk群のGISTと診断された.
【術後経過】外来にてimatinibによる化学療法を継続し肝転移巣は縮小傾向である.
【まとめ】小腸GISTに腸管軸捻転症を伴った報告は散見されるが,これにMalrotation,中腸軸捻転を伴った報告例は検索した限り存在しなかった.Malrotation患者に小腸GISTが発生し,膀胱浸潤による固定から中腸軸捻転を来し穿孔性腹膜炎に至った極めて稀な症例を経験したので,文献的考察を加えて報告する.

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