演題

腸重積をきたした回腸原発脂肪肉腫の1例

[演者] 大陽 宏明:1
[著者] 趙 秀之:1, 松村 博臣:1, 咲田 雅一:1
1:洛西ニュータウン病院 外科

【緒言】小腸原発の腫瘍は,剖検例でも1%以下とされ比較的まれな疾患とされている.また,脂肪肉腫は臀部,大腿,膝窩,後腹膜を好発部位とする腫瘍で,小腸原発脂肪肉腫の報告例は極めて少ない.今回われわれは,腸重積をきたした回腸原発脂肪肉腫の1例を経験したので文献的考察を加えて報告する.【症例】69歳,男性.前立腺癌にて泌尿器科通院加療中であった.5か月前より徐々に進行する貧血のため消化器科を受診.CTにて小腸の腸重積像を認めたため外科紹介となった.血便や腸閉塞症状を認めないため,消化管精査の後に準緊急手術の方針とし,入院の上経過観察とした.上部消化管内視鏡検査にて特記すべき所見を認めず.入院2日後に施行した下部消化管内視鏡検査にて新鮮血を腸管内に認めたため,重積部の壊死を否定できず緊急手術とした.まず腹腔鏡にて腹腔内を観察した.空腸での腸重積を確認し,腸重積以外の異常な病態がないことを確認.小開腹し,病変部を体外へ導出.Hutchinson手技にて重積を整復したところ,小腸腫瘍を認めた.近傍の間膜内リンパ節腫脹も認めたため合わせて切除し,機能的端端吻合にて再建した.病理組織診断結果は脱分化型脂肪肉腫であった.術後経過は良好で,第8病日に退院となった.転移性小腸脂肪肉腫による腸閉塞症例の報告もあるため,PET-CTを施行したが悪性腫瘍を示唆する所見は認めなかった.現在,外来にて経過観察中である.【考察】小腸原発の腫瘍は比較的まれである.成人腸重積症の多くは腫瘍性病変に起因するとされており,脂肪肉腫が原因となる小腸腸重積症の文献報告は2例と極めてまれである.脱分化型脂肪肉腫は5年生存率が30%程度とされており,予後は不良である.本症例は小腸原発であったため小腸部分切除にて完全切除できたものと考えるが,慎重な経過観察が必要と考える.【結語】今回われわれは,腸重積をきたした回腸原発脂肪肉腫の1例を経験したので報告した.
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