演題

腹部アンギーナ症状を呈した小腸および結腸に多発する類上皮血管肉腫の一例

[演者] 樋渡 啓生:1
[著者] 坂元 昭彦:1, 柳 政行:1, 九玉 輝明:1, 本高 浩徐:1, 吉川 弘太:1, 野田 昌宏:1, 中村 登:1, 濵田 信男:1
1:鹿児島市立病院 外科

類上皮血管肉腫(epithelioid angiosarcoma)は,血管内皮細胞由来の悪性腫瘍の一つであり,進行が早く,予後の悪い疾患である.その発生部位や発症年齢は様々であり,臨床的に診断するのは困難で,病理学的検査による免疫組織化学的な検討が確定診断に有用である.今回,我々は腹部アンギーナ症状を契機に発症し,手術後病理学的検査により診断し得た小腸および結腸に多発する類上皮血管肉腫の一例を経験した.
症例は77歳男性.腹痛,嘔吐,下痢を主訴に前医受診.CTにて回結腸動脈の閉塞と回腸の広範囲の浮腫性変化を認め,腹部アンギーナおよび虚血性腸炎の診断で当院紹介となった.側副血行路の発達を認め,明らかな腸管壊死はないと判断し,保存的加療の方針となった.抗血小板薬,抗凝固薬により症状は一旦改善を認めたが,再燃した.下部消化管内視鏡検査を施行したところ,回腸の広範囲に高度狭窄を認め,加えて横行結腸にも狭窄を認めた.狭窄部位より行った生検では悪性が疑われる所見であった.保存的加療による改善が乏しいこと,悪性腫瘍が疑われることから,リンパ節郭清を伴った腹腔鏡下結腸右半切除術を施行した.切除標本では回盲部に壁肥厚を伴う陥凹性病変を認め,回腸に多発する小潰瘍を認めた.病理組織学的検査ではAE1/AE3, vimentinが陽性,CK7, CK20, CDX-2, CK5/6, Napsin A, TTF-1, p40, CD56, chromogranin A, synaptophysin, HMB-45, Melan A, CD10, PSA, AMACRが陰性であり,原発不明の低分化または未分化癌が疑われたが,その後追加した染色で血管内皮マーカーのCD31が陽性という結果であったため,類上皮血管肉腫の診断に至った.消化管の類上皮血管肉腫は極めて稀であり,文献的考察を加えて報告する.
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