演題

当院における小腸がんの術後補助化学療法の検討

[演者] 牧野 俊一郎:1
[著者] 高橋 秀和:1, 原口 直紹:1, 西村 潤一:1, 畑 泰司:1, 松田 宙:1, 水島 恒和:1,2, 山本 浩文:1,3, 土岐 祐一郎:4, 森 正樹:1
1:大阪大学大学院 消化器外科学Ⅰ, 2:大阪大学大学院 炎症性腸疾患治療学, 3:大阪大学 医学部保健学科機能診断科学講座分子病理学教室, 4:大阪大学大学院 消化器外科学Ⅱ

小腸癌はまれな腫瘍であり,日本では全悪性腫瘍の0.1~0.3%,消化器癌のうち1~3%程度とされる.さらに小腸悪性腫瘍のうち小腸腺癌の割合は,2000年の報告では33%とさらに稀な疾患と報告されている.一般に,小腸癌は早期発見が困難で腹痛,腸閉塞,出血,穿孔などをもって発見されるため,進行癌として診断されることが少なくない.進行小腸癌は多くが再発や転移を起し,予後が不良であるとされている.
小腸癌への抗癌剤の有用性について,無作為化比較試験による検証は行われていないものの,複数の後ろ向き研究の結果は化学療法を施行した患者の生存期間延長を示唆している.しかし進行小腸癌に対して確立した化学療法のプロトコールがなく,大腸癌に準じた化学療法が行われているのが現状である.そこで我々は2006年から20016年までの当院での小腸癌で化学療法を行った症例をレトロスペクティブに解析を行った.
小腸癌で化学療法を行った症例は空腸癌が7例,回腸癌が4例であった.平均年齢は57.2歳(38歳~77歳)で男女比は5:6であった.6例には既に他臓器転移や腹膜播種があり姑息的な手術となった.残りの5例には可及的広範囲なリンパ節郭清を伴う根治術が施行された.原発巣を切除した11例の組織型は高分化腺癌が4例,中分化腺癌が4例,低分化腺癌が2例,粘液癌が1例であった.大腸癌取扱い規約に準じて検討したところStage0,Ⅰ,Ⅱ,Ⅲa,Ⅲb,Ⅳそれぞれ0例,0例,4例,0例,1例,6例で あった.生存の中央値は43.4ヶ月,再発までの中央値は10.1ヶ月であった.
Oxaliplatinと使用した9例と使用しなかった9例に関して比較を行ない,奏効率は22% vs.22%と差を認めなかったが,無増悪生存期間中央値において,Oxaliplatinと使用した9例が6.0ヶ月であり,Oxaliplatinと使用しなかった9例の3.0か月と比較し,優れていた.
オキサリプラチンを使用したレジメンではオキサリプラチンを使用していないレジメンと比較し,奏効率では差を認めなかったが,無増悪生存期間中央値において優れていた.
小腸癌の化学療法について,若干の文献的考察を加え報告する.
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