演題

外科治療を行った原発性小腸癌の治療成績

[演者] 田村 浩章:1
[著者] 西脇 由朗:1, 関本 晃:1, 池田 貴裕:1, 宮﨑 真一郎:1, 大菊 正人:1, 林 忠毅:1, 平山 一久:1, 金井 俊和:1, 池松 禎人:1
1:浜松医療センター消化器外科

【はじめに】原発性小腸癌は比較的稀であり,治療指針は確立されていない.今回,外科的介入を行った原発性小腸癌の治療成績について検証した.
【対象と方法】2003年1月から2016年7月までに外科治療を行った原発性小腸癌21例(十二指腸癌18例,小腸癌3例)を対象とし,後向きに臨床病理学的な解析を行った.癌の進行度はTNM分類第7版に準じて評価した.
【結果】年齢は中央値70歳(49~91歳)で,男性13例,女性8例であった.有症状17例のうち対象疾患に関連すると判断した14例中7例がT4であった.偶発的な発見症例は7例でT1aが6例を占めた.重複癌は7例で異時性5例,同時性3例であった(重複あり).癌の占拠部位とT因子,および症例数との関係は十二指腸第1部9例(T1a:4,T3:2,T4:3),第2部7例(T1a:3,T4:4),第3部2例(T3:1,T4:1),空腸1例(T4:1),回腸2例(T3:1,T4:1)であった.非根治は第1部2例,第2部3例,および回腸1例のT4症例で回腸癌は原発巣を切除した.非根治例では4例に化学療法を行った.2例が術後14ヵ月(回腸癌),18ヵ月で死亡し,残り2例は術後5ヵ月,19ヵ月で生存している.化学療法未施行の2例は術後2ヵ月,6ヵ月で死亡した.根治術を15例(全層部分切除術2例,第1部を含む幽門側胃切除術5例,膵頭十二指腸切除術(PD)6例,小腸部分切除術1例,回盲部切除術1例)に施行した.リンパ節転移は第1部と回腸,および空腸の3例に認めた.空腸癌は播種結節が1個あり切除した.術前に化学療法を施行したのは1例であった.膵浸潤を伴う進行胃癌と判断しバイパス手術後に化学療法を施行した結果,奏功し第1部癌を疑いPDを施行した.術後補助化学療法はPDを施行した3例に行ったが2例は副作用のため短期で中止した.再発は3例で約3年以内であった.そのうち第1部癌(T3N2)と空腸癌(T4N2)はそれぞれ術後18ヵ月,44ヵ月で癌死した.第3部癌(T4N0)は原発巣切除の43ヵ月後に多発肺転移を切除した.術後5年以上の無再発はPDを施行したT4癌の1例とT1a癌の3例で10例が生存している.
【まとめ】T1a癌は十二指腸第1部,および第2部に多く,偶発的な発見例が多い.T1a症例は予後良好で全層部分切除を含めた確実な切除が有効である.有症状例にはT4癌を多く認めたが,耐術可能と判断した場合には,根治を意図した切除が望ましい.非根治症例は予後不良であるが化学療法を含む集学的治療により予後改善の可能性がある.
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