演題

当院における小腸腫瘍13例の検討

[演者] 真田 祥太朗:1
[著者] 越川 克己:1, 冨永 奈沙:1, 宇野 泰朗:1, 西 鉄生:1, 福岡 伴樹:1, 佐野 正明:1
1:名古屋記念病院 外科

【はじめに】小腸腫瘍は比較的稀な疾患であり,悪性腫瘍に限ると全消化管の1~2%に過ぎない.またその解剖学的特徴から内視鏡的診断・治療が困難であったが,近年,ダブルバルーン内視鏡やカプセル内視鏡の発達により全小腸の観察が可能となってきた.しかし腹痛,嘔気などのイレウス症状を呈した比較的進行した状態や,出血による貧血,腸重積,穿孔による腹膜炎症状で発症することもあり,緊急手術となることもしばしばで,早期診断はいまだ困難である.
【対象】2012年4月から2016年11月の期間に,当科において手術を施行した小腸腫瘍13例の臨床学的特徴を検討した.
【結果】悪性疾患は10例(悪性リンパ腫4例,gastrointestinal stromal tumor(GIST)3例,転移性小腸癌2例,原発性小腸癌1例)で悪性リンパ腫(diffuse large B-cell lymphoma 3例,enteropathy-associated T-cell lymphoma 1例) が最も多く,良性疾患は3例で脂肪腫,異所性膵,デスモイド腫瘍がそれぞれ1例ずつであった.腫瘍の局在は空腸5例,回腸6例,回盲部2例で,緊急手術を施行した症例は6例(46%)で悪性リンパ腫の穿孔が2例,転移性小腸癌の穿孔が1例,腸重積が2例,子宮穿孔にデスモイド腫瘍を合併したものが1例であった.術前診断が得られていたのは3例(23%)あり,悪性リンパ腫の腸重積に対し大腸内視鏡で生検がなされたものが1例,原発性小腸癌と転移性小腸癌がそれぞれ1例ずつでともに小腸内視鏡で生検が行われていた.残りの10例(77%)は術後の病理組織検査で診断が得られていた.発見の契機となった症状としては,腸閉塞が6例と最も多く,その他小腸穿孔3例,腹腔内腫瘍指摘2例,貧血1例,子宮穿孔1例であった.施行術式は小腸部分切除術10例,回盲部切除術3例であり,それらのうち6例で腹腔鏡手術(GISTの2例,脂肪腫,原発性小腸癌,異所性膵,悪性リンパ腫それぞれ1例ずつ)が行われていた.また悪性疾患10例のうち7例で術後に化学療法が行われていた.
【考察】小腸に発生する腫瘍は,いまだ術前診断が困難で緊急手術となるものから待機的に手術を行うことができるものまで多岐にわたり,良・悪性ともに存在しその予後も様々である.現段階では治療ガイドラインも確立されていないため,個々の症例に応じた治療を行う必要がある.
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