演題

直腸癌側方リンパ節郭清に関わる側方腔の解剖変異の解析

[演者] 藤本 侑士:1
[著者] 浜部 敦史:1, 谷田 司:1, 森田 俊治:1
1:市立豊中病院 外科

【背景】
直腸癌側方リンパ節郭清時には神経,血管,泌尿生殖器系臓器などの重要構造物を正確に認識し手技を進める必要がある.しかし,側方腔は解剖変異が複雑で,特に腹腔鏡で実施することは難易度が高い.本研究で,側方腔の解剖変異パターンを解析し各パターンの存在割合を明らかにすることとした.
【方法】
2016年に当院で大腸癌手術を施行した症例のうち40症例80側方腔を対象とした.術前に撮影した造影CTの1.25mm幅thin slice画像を読影し下記の構造物の走行を確認した:神経(L5, S1, S2),血管(総腸骨・内腸骨・外腸骨動静脈,上殿動静脈,閉鎖動静脈,内陰部動脈,下殿動脈).
【結果】
上殿動脈(SGA)通過部:S1-S2間=5%, L5-S1間=79%, L5外側=16%
上殿静脈(SGV)通過部:S1-S2間=40%, L5-S1間=36%, L5外側=24%
梨状筋下縁における下殿動脈(IGA)・内陰部動脈(IPA)の関係:IGAが内側=60%, IPAが内側=9%, IGA・IPAが共通幹=16%, その他=15%
閉鎖動脈分岐部:SGA分岐より中枢=8%, SGAと同時分岐=5%, SGA分岐より末梢=69%, SGAより=8%, 外腸骨動脈より=11%
閉鎖静脈分岐部:SGV分岐より中枢=7.5%, SGVと同時分岐=3.8%, SGV分岐より末梢=52.5%, SGVより=13.8%, 外腸骨静脈より=2.5%, なし=16.3%, その他=3.8%
副閉鎖静脈の分岐:あり=55%, なし=45%
同一患者における左右のパターン一致率は下記の通りであった.
SGA通過部=80%, SGV通過部=63%, 閉鎖動脈分岐=68%, 閉鎖静脈分岐=45%, 副閉鎖静脈=68%
【結語】
側方腔解剖の変異パターンを明らかにし,同一個体内において左右対称性が保たれる傾向が存在することが明らかとなった.これらの解剖を理解することで側方郭清の安全な実施に貢献しうると考えられる.
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