演題

大腸癌手術におけるICG蛍光法を用いた腸管血流評価

[演者] 茂木 俊介:1
[著者] 牧野 有里香:1, 河野 眞吾:1, 杉本 起一:1, 小島 豊:1, 冨木 裕一:1, 福永 哲:4, 梶山 美明:2, 川崎 誠治:3, 坂本 一博:1
1:順天堂大学附属順天堂医院 大腸・肛門外科, 2:順天堂大学附属順天堂医院 食道・胃外科, 3:順天堂大学附属順天堂医院 肝・胆・膵外科, 4:順天堂大学附属順天堂医院 消化器・低侵襲外科

【目的】大腸癌に対する治療では,多くの症例で手術治療が第一選択となる.手術治療でもっとも重大な術後合併症の一つである縫合不全は,結腸癌手術では約1.5%に,直腸癌手術では約5~10%に合併すると報告されている. 縫合不全を引き起こす要因として,吻合部の腸管血流が挙げられている.今回,腸管血流を評価する方法として,Indocyanine Green(以下ICG)に近赤外線を照射すると蛍光を発するICG蛍光法に着目した.
【対象と方法】2015年3月から2016年9月の間に施行した大腸癌手術で左側結腸,直腸DST吻合症例47例(左側結腸34例,直腸13例)を対象に,ICG蛍光法を用いた腸管血流評価を施行した.ICG蛍光法にはPDE®(浜松フォトニクス社)を用いた.体腔外に経腹壁的に切除予定腸管を引き出し,腸間膜処理後にPDEで観察しながらICG(0.25mg/ml) 2mlを静注した.血流評価後に腸管切離線を決定した.評価項目は,ICG静注後から蛍光開始までの時間,および蛍光が最大になるまでの時間,そして術者が蛍光前にマーキングした切離予定線との差とし,縫合不全ありとなし群に分けて比較検討した.
【結果】ICG投与に伴う明らかな合併症は認められなかった.蛍光開始まで時間は43(12-80) 秒,最大になるまでの時間は92(45-164) 秒であった.全体の10例でマーキング部位までの十分な蛍光が認められず,切離予定線を変更した.術後縫合不全は6例であった.吻合部狭窄や虚血性腸炎の症例は認められなかった.縫合不全の有無による2群間の検討では,Brinkman指数400以上,心血管疾患あり,抗凝固薬内服あり,術前治療あり,開腹手術,経肛門ドレーンなし,深達度T3以深,リンパ節転移ありの症例は有意に縫合不全が多かった.また縫合不全をきたした症例では,ICG静注後から蛍光が最大になるまでの時間が長く,ICG蛍光法の評価のパラメータは時間が重要と考えられ,蛍光が最大になるまでの時間をROCで評価すると,カットオフ値が98秒と推測された.また,多変量解析においても蛍光が最大になる時間が98秒以上で有意差を認めた.(p=0.021)
【結論】蛍光が最大になる時間が98秒以上では縫合不全の可能性を考慮する必要があり,今後も症例を重ねた検討が必要である.
詳細検索