演題

再発食道癌の予後向上を目指して -予測バイオマーカー及び転移性肺腫瘍に対するRFAの観点から-

[演者] 馬場 祥史:1
[著者] 中村 健一:1, 大内 繭子:1, 澤山 浩:1, 木下 浩一:1, 岩槻 政晃:1, 坂本 快郎:1, 吉田 直矢:1, 馬場 秀夫:1
1:熊本大学大学院 消化器外科学

食道癌は消化器領域の悪性腫瘍の中でも予後不良で根治困難な癌の1つである.根治切除後の再発に対する治療法は,再発診断時の全身状態や再発部位とその範囲などに応じて選択される.肺再発症例に対しては全身化学療法を中心に手術・放射線療法など集学的治療が施行されるが,ガイドライン上一定の方針は定められていない.【バイオマーカー】再発症例においては,早期発見と治療介入が臨床上重要であることから,術後再発予測のバイオマーカーの開発は喫緊の課題である.我々は,500例以上の食道癌データバンクを確立し,食道癌の予後予測及び再発予測バイオマーカーの開発を行ってきた.ゲノム全体のメチル化レベルの指標であるLINE-1の低メチル化症例は予後不良であり,再発をきたしやすいため,厳重フォローが必要である(Ann Surg 2012, Clin Cancer Res 2014).また,口腔内常在菌であるFusobacterium Nucleatum陽性食道癌症例ではケモカインシグナルが活性化され,再発をきたしやすいことも明らかにしている(Clin Cancer Res 2016).これらの知見に関して統合解析を行い,報告させていただく.【RFA】食道癌根治切除症例 538例をretrospectiveに解析したところ,再発を163例(血行性71例,リンパ節62例,局所30例)で認めた.血行性再発症例はリンパ節+局所再発症例に比べて有意に再発からの生存期間が短かったが(log rank P=0.017),肺単独再発症例はその他の血行性再発症例よりも有意に予後良好であった(log rank P<0.001).当施設では食道癌肺転移症例において,先進医療として肺病変に対するRFAをこれまで17例(33病変)に施行している.肺転移診断後に全身化学療法:14例,化学放射線療法+全身化学療法:2例,全身化学療法+手術:1例が施行され,肺転移診断からRFAまでの期間は平均5.4ヵ月(1-18ヵ月).腫瘍数は1個:10例,2個:4例,3個:3例,最大径は1.6cm.局所制御率(1年間局所再発なし)は83%であり,局所再発をきたしても繰り返しRFAを施行することが可能であった.また,RFA後1年生存率は75%であり,長期生存症例(RFA後6年)も存在する.RFAによる局所制御と全身化学療法を集学的に施行することが,肺再発症例の生存期間延長に寄与すると考えられ,食道癌肺再発症例に対する治療のオプションの1つになりうると考えられる.
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