演題

当院のS状結腸癌・直腸S状部癌に対するReduced port surgeryの検討

[演者] 近藤 潤也:1
[著者] 千々松 日香里:1, 来嶋 大樹:1, 林 秀人:1, 坂田 晃一朗:1
1:JCHO 下関医療センター 消化器外科

【はじめに】近年徐々に広がりつつあるReduced port surgery ( RPS )は整容性に優れている反面,手術器具の操作性や視野展開の確保において標準的な腹腔鏡手術に比べ難易度が高いと考えられ,適応に関しては慎重な検討を要する.とくに,大腸癌手術に対して用いる場合には,根治性を損なうことなく,従来の5ポートによる腹腔鏡手術( Multiport surgery : MPS )と同様の安全性と確実性が確保されるべきである.当科では標準的腹腔鏡下手術の手技になるべく準拠する形で細径鉗子を追加したRPSを導入してきた.今回,内視鏡外科技術認定の評価対象でもあるS状結腸癌及び直腸S状部癌に対するRPSの妥当性を検討した.【対象】当科の大腸癌に対する腹腔鏡下手術の適応はcT1-T3, N0-N2までの症例としている.2006年5月から2016年7月までに施行したS状結腸癌・直腸S状部癌に対する腹腔鏡下切除術(合計113例)を対象とし,MPS群(合計41例)とRPS群(合計72例)の短期手術成績を比較検討した.【結果】両群間で年齢,性別,BMI,腫瘍局在,術前病期に有意差は認めなかった.手術時間(中央値, MPS群 : RPS群 / 228分 : 231分),リンパ節郭清度(D1 : D2 : D3 / MPS群2 : 15 : 24, RPS群 4 : 18 : 50),術後合併症率(Clavien-Dindo分類でGradeII以上)(MPS群 : RPS群 / 28.2% : 18.7%),術後入院期間(中央値, MPS群 : RPS群 / 17日:19日)でも両群間に有意差はなかったが,出血量(中央値, MPS群 : RPS群 / 56g : 20g , p<0.001 )においてのみ有意差を認めた.【結語】S状結腸癌及び直腸S状部癌に対するRPSでは,解剖の理解や手技の定型化を図ることで,標準的な腹腔鏡下手術と遜色のない安全な手術を行い得ると考えられた.しかし,大腸癌に対する手術として健全に普及するためには長期成績に対する評価が必要であり,当科でも引き続き症例を重ねて検討を行いたい.
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