演題

pT4a大腸癌における腹腔鏡下大腸切除の検討

[演者] 樅山 将士:1
[著者] 石部 敦士:1, 大田 貢由:2, 諏訪 雄亮:1, 中川 和也:2, 諏訪 宏和:2, 渡邉 純:3, 秋山 浩利:1, 市川 靖史:4, 遠藤 格:1
1:横浜市立大学医学部 消化器・腫瘍外科学, 2:横浜市立大学附属市民総合医療センター 消化器病センター, 3:横須賀共済病院 外科, 4:横浜市立大学医学部 がん総合医学

背景: 進行大腸癌に対する腹腔鏡手術と開腹手術のRCTであるJCOG0404では腹腔鏡手術の長期成績は開腹手術とほぼ同等であったが,T4症例に対する腹腔鏡手術の是非はいまだ明らかにされていない.
目的:pT4a大腸癌に対する腹腔鏡下大腸切除術の術後成績を明らかにし,手術の妥当性について検討する.
対象と方法:1992年4月から2013年12月までに根治的切除を施行したpT4a結腸癌および直腸S状部癌286例を対象とした.腹腔鏡手術96例(LAC群)と開腹手術190例(OC群)に分けてPropensity Scoreによるcase-match(マッチング因子:年齢,性別,腫瘍占拠部位,臨床病期,補助化学療法の有無,術前CEA値)を行い,短期成績,長期成績を比較検討した.
結果:両群とも70例が抽出された.短期成績(LAC:OC)では手術時間は186分:198分で差を認めなかったが(p=0.348),出血量は72g:263gとLAC群で有意に少なく(p=0.001),術後在院日数は8(5-49):12(7-49)とLAC群で短かった(p=0.001).リンパ節郭清度,郭清個数には差を認めなかった.合併症発生率は共に25.7%であったが,縫合不全はLAC群にのみ認め,8例(11.2%)であった.そのうち6例がRS癌であった.長期成績では観察期間中央値56か月(10-168)で5年全生存率87.5%:79.4%と差を認めず(p=0.371),5年無再発生存率も72.9%:66.7%と差を認めなかった.術後補助化学療法は30%:34.3%に施行され,レジメンは全例5-FU系薬剤が使用されているが,l-OHP併用の割合がLAC群33.3%に対しOC群4.2%と有意にOC群で少なかった(p=0.017).再発はLAC群17例(24.3%)に対しOC群22例(31.4%)と両群で差を認めず(p=0.451),初発部位もLAC群(肝10,肺1,腹膜・局所7,その他1)とOC群(肝13,肺5,腹膜・局所7,その他2)で差を認めなかった(p=0.556).
結語:pT4a大腸癌に対するLACはOCと比べて短期成績は良好で,長期成績でも同等であり,手術方法の選択肢の一つと考えられた.ただし,RSの症例では慎重な操作や縫合不全対策が必要であると思われた.
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