演題

PP6-6

腹腔鏡下肝外側区域切除の定型化と今後の適応拡大に向けた展望

[演者] 清水 哲也:1
[著者] 谷合 信彦:1, 吉岡 正人:1, 川野 陽一:1, 近藤 亮太:1, 金谷 洋平:1, 青木 悠人:1, 神田 知洋:1, 真々田 裕宏:1, 内田 英二:1
1:日本医科大学 消化器外科

【緒言】2010年に腹腔鏡下肝外側区域切除術(LLLS)と部分切除術が保険収載され,肝臓外科医にとって習熟すべき手術となった.当科では適応症例に腹腔鏡下肝手術を積極的に導入しこれまでに173例の腹腔鏡下肝切除術のうち26例にLLLSを行った.さらに2016年4月に適応拡大され,今後区域切除,葉切除にも腹腔鏡手術が増加することが予想される.LLLSは,肝切離,グリソン処理,肝静脈処理などの腹腔鏡下肝切除の基本的手技が含まれ,様々な腹腔鏡肝切除手術の標準化,教育的に重要な術式である.安全で確実な腹腔鏡下肝外側区域切除術の定型化の現状を検討し,今後の腹腔鏡下肝亜区域切除以上の適応拡大を問題点を提示する.
【手術手技】当科におけるLLLSの定型化の要点は以下のとおりである.①Synapse VINCENTによる腫瘍,脈管の局在の確認(特にG2,3, LHV, Umbilical fissure vein(UFV)).②三角間膜を肝切離終了まで温存しHanging maneuverに利用.③肝離断は表層をLCS,深部はCUSAにて行い,離断面のUFVをメルクマールに肝切離を行いUFVを根部に追うことでLHVに到達.④G3を個別処理後,G2,LHVをELSにて一括して切離するが,G2,LHVが離れている際は別々に処理する.
【検討】LLLS26例中hybridや胆摘以上の手術を追加したものを除外した完全腹腔鏡下LLLS 15例を定型前(~2016.3),定型後(2016.4~)の2群に分け,定型前後での手術時間,Pringle回数,出血量,オペ後在院日数,合併症について検討した.
【結果】
LLLSの定型化により,手術時間およびPringleによる阻血時間の短縮が認められた.出血量,オペ後在院日数には有意差はなかったが,双方とも減少傾向にあった.Clavien-Dindo III以上の合併症をLLLS施行例に認めなかった.
【結語】
腹腔鏡導入直後と定型後では,手術時間およびPringleによる阻血時間の短縮により,術式の定型化によってLLLSが円滑に安全に施行できるようになったと考える.今後の腹腔鏡下肝切除の適応拡大に関しては,肝胆膵高度技能手術の確保や昨今の腹腔鏡下肝切除の報道の中,思い通りに手術数が確保できない現状があるが,LLLSでも必要不可欠な手技である肝切離,脈管露出,グリソン,肝静脈処理が亜区域以上の腹腔鏡下肝切除術にも応用できると考えられ,安全な定型化,手術の施行にLLLSの基本手技の体得は肝要であると考える.今後は適応拡大された術式も安全に施行できるよう定型化を進めたい.


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