演題

PP6-4

腹腔鏡下肝切除におけるDifficulty scoring systemと手術成績の検討

[演者] 中本 修司:1
[著者] 海津 貴史:1, 西山 亮:1, 江間 玲:1, 田島 弘:1, 河又 寛:1, 隈元 雄介:1, 渡邊 昌彦:1
1:北里大学医学部 外科

【はじめに】腹腔鏡下肝切除(LLR)は,2010年に保険収載されて以来,低侵襲な術式として普及しつつある.安全な手術の導入と展開には手術難度の客観的な評価が必要であり,その評価法としてDifficulty scoring system (Ban D, et al, JHBPS 2014) が知られている.今回,当院で施行したLLRにおいてこの評価システムの有用性を検討した.
【対象と方法】2012年7月~2016年10月までに当院で施行したLLR 212例のうちHALS 24例,Hybrid 14例,2検体以上の切除症例 23例,大腸癌同時切除 17例を除く134例を対象として後方視的に検討を行った.
【結果】疾患は肝細胞癌 72例,転移性肝腫瘍 47例,良性疾患 9例,その他 6例で,男女比は84:50であった.Difficulty score (DS),手術時間,出血量の中央値はそれぞれ4.0(1-11),361 min(100-785),100 ml(0-3190)であり,DSと手術時間,出血量に有意な相関を認めた.Clavien-Dindo分類 gradeⅢa(C-DⅢa)以上の術後合併症は7例 (胆汁漏 2例,出血性胃潰瘍 1例,筋弛緩薬効果遷延に伴う術後呼吸停止 1例,胸水 1例,胆嚢穿孔 1例,間質性肺炎 1例) にみられ,合併症あり群(7例)は合併症なし群(127例)と比較してDSが有意に高かった(8.0 vs 4.0, p=0.0046).開腹移行は8例(出血 4例,癒着 4例)に認めたが,開腹移行群(8例)と開腹移行なし群(126例)のDSに有意差は認めなかった.また手術経験数10例未満の術者が施行したLLR (A群, 13例)と手術経験数10例以上の術者が施行したLLR(B群, 121例)でのDS,手術時間,出血量,術後合併症(C-DⅢa以上)の発生率,術後在院日数は,A群のDSがB群と比較して有意に低かった以外,両群の成績に有意差はみられず,またA群において開腹移行例は認めなかった.
【結語】LLRにおけるDifficulty scoring systemは術前の難易度評価および術後合併症を予測する上で,有用な評価法の1つであると考えられる.また手術経験数が少ない術者もDSが低い症例を選択することで安全にLLRを施行することができ,手術を導入・展開する上で重要な指標となり得るものと考える.
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