演題

SY14-9

当科における腹腔鏡下尾側膵切除術の手術成績と膵先行圧挫による膵切離法の検討

[演者] 松下 晃:1
[著者] 中村 慶春:1, 勝野 暁:1, 山初 和也:1, 住吉 宏樹:1, 神田 知洋:1, 清水 哲也:1, 吉岡 正人:1, 横山 正:1, 内田 英二:1
1:日本医科大学付属病院 消化器外科

【緒言】教室では現在まで252例に腹腔鏡下膵切除術を施行しその有用性について報告してきた.今回2013年まで術者限定のもと施行してきた腹腔鏡下膵体尾部切除術(Lap-DP)100例の手術成績と,さらに膵切離法,術後管理を変更して行った54例,計154例の手術成績を比較検討した.
【方法と結果】154例の内訳は,膵嚢胞性疾患72例,PNET 27例,膵癌34例,転移性膵腫瘍 7例,その他 14例であった.2004年から2009年までは施設導入者がLap-DPの術者を全例に行った(E (expert surgeon)群, n=47).その結果Lap-DPの有益性と安全性が施設内で示唆されたため,2010年から2013年は3名の消化器外科専門医が導入者の指導のもと術者を担当した(T (training surgeon)群, n=53).手術時間(E群321分:T群314分,脾臓,脾動静脈温存の比率(E群23.4%:T群20.8%),開腹移行率(4%:0%),Grade B以上の膵液瘻発症率(12.8%:16.9%),再手術率(2.1%:3.8%)に両群間の有意差はなく,出血量はE群280 mlに対してT群100mlとT群で有意に少なく,術後在院期間はE群10日,T群13日でT群が有意に長かった.両群共に周術期死亡例はなかった(Nakamura Y. Laparoscopic distal pancreatectomy: Educating surgeons about advanced laparoscopic surgery Asian J Endosc surg. 2014; 7: 295-300).さらに膵液瘻減少を目的として,2015年からは膵切離を2本の血管鉗子を用いて5分間先行圧挫した後に自動縫合器にて切離を行うこととし,術後4日目にドレーンを抜去する術後管理を行った(PE(precompression+ early removal of drain)群, n=54).今回,T群とPE群での手術成績の比較をおこなった.Grade B以上の膵液瘻発症率はT群に対してPE群で有意に少なく(T群16.9%:PE群4%, p=0.029),他の合併症発症率(6%:2%),再手術率(3.8%:2%),晩期合併症発症率(1.9%:7.4%)に両群間で有意差はなくPE群においても死亡例はなかった.
【結語】Lap-DPは低侵襲手術として有用であり安全に実行可能で継承・普及が可能な術式であると思われた.また,膵先行圧挫による膵切離とドレーン早期抜去による術後管理により膵液瘻の減少が認められた.
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