演題

PP5-2

腹腔鏡下肝切除導入においてparenchyma-sparing strategyに対する意識とその意義

[演者] 河口 義邦:1
[著者] 小林 光助:1, 有田 淳一:1, 赤松 延久:1, 金子 順一:1, 阪本 良弘:1, 長谷川 潔:1, 國土 典宏:1
1:東京大学附属病院 肝・胆・膵外科

背景:腔鏡下肝切除(LH)では,症例選択により開腹肝切除(OH)と比べ,良好な短期成績と同等の長期成績が報告されている.LHでは動作制限の影響もあり,OHでは選択しない,肝実質を必要以上に切除する術式の選択も懸念される.今回,parenchyma-sparing strategyの肝再生への影響とLH/OHの術式選択の意識に関し,外側区の腫瘍に着目し報告する.
方法:(1)1994年から2014年に当科で外側区域の肝細胞癌に対し外側区域切除とS 2/S3切除(S2/S3AR)を施行された89人を対象に肝肥大率を評価した.(2)2008年から2013年に世界27のhigh-volume centerで肝切除を施行された11,712人を対象にLHの施行状況を調査した.
結果:(1)肝容積比(術後4か月/術前)は,S2/S3AR(n=40)が外側区域切除(n=49)より有意に大きく(98.8% vs. 93.2%, P=0.019).生存率は有意な差を認めなかった.(2)施設内訳は,北米/南米(8施設),欧州(9施設),アジア(10施設)であり11,712症例のうち32.1%(n=3,765)がLHであった.外側区域切除のLH選択率は,全肝切除より高かった(Fig.1,61.8% vs. 32.1%).
結論:外側区域の肝細胞癌に対するparenchyma-sparing strategyは,術後肝再生に有利であり,長期生存に有意な差がないことが示唆された.世界27施設の調査ではLH選択率は30%以上であり,外側区域切除は技術的な平易さを反映してか,その2倍以上であった.しかし技術的に容易であるという理由で術式を選択せず,oncologicalに妥当かつ肝実質温存を考慮した術式選択は,再肝切除や残肝機能温存の観点からLH導入においても意識されるべきである.

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