演題

PP5-1

腹腔鏡下肝切除手術は術後の臓器体腔感染を軽減する

[演者] 高橋 祐輔:1
[著者] 横山 直行:1, 佐藤 大輔:1, 大谷 哲也:1
1:新潟市民病院 消化器外科

背景腹腔鏡下肝切除は徐々に普及しつつあり,その適応も部分切除から系統的切除へと拡大傾向にある.また,同手術症例の蓄積に伴い,鏡視下手術の特性に基づく様々なリスクベネフィットも明らかになってきた.その中で,臓器体腔感染は重要な術後合併症であり,腹腔鏡下肝切除が普及してきた中,同合併症への影響を検証した報告は少ない.
【目的】肝切除術後臓器体腔感染のリスク因子を明らかとし,同合併症発生に対する腹腔鏡下術式の影響を解明する.
【方法】2008年1月から2016年3月までの間に,胆道再建を伴わない肝切除が施行された患者を対象とし,臓器体腔感染の危険因子を単変量・多変量解析した.緊急手術例,術後1か月以内の死亡例は除外した.解析項目は,術前因子として患者年齢,性別,body mass index,血清クレアチニン,prognostic nutrition index,糖尿病の有無,および背景肝(Child Pugh分類)を,手術関連因子として,腹腔鏡下/開腹手術,部分切除/系統的切除,同時性大腸切除の有無,手術時間,出血量,および輸血の有無,術後因子として,術後胆汁漏の有無を選択した.
【成績】対象基準を満たした症例は252例で,腹腔鏡手術群118例,開腹手術群134例であった.両術式間の比較検討では,prognostic nutrition index(腹腔鏡手術群中央値50.2 vs開腹手術群中央値48.0;p = 0.012),肝部分切除(腹腔鏡手術群62.7%vs開腹手術群49.3%;p = 0.042),大腸同時切除率(開腹手術群17.9%vs開腹手術群8.5%; p = 0.042),出血量(腹腔鏡手術群150g vs 開腹手術群658g;p < 0.01),輸血率(腹腔鏡手術群17.8% vs 開腹手術群32.8%, p < 0.01)に有意差がみられた.臓器体腔感染は,252例中26例(10.3%)に発生し,腹腔鏡手術群(5.9%)は,開腹手術群(14.9%)に比べ有意に低率であった(p = 0.0122).臓器体腔感染に関わる単変量解析では,開腹手術,部分切除,手術時間,出血量,輸血率,術後胆汁漏で有意差がみられ,多変量解析では,開腹手術(Odds比 4.41, 95%CI 1.16-16.7, p = 0.029),術後胆汁漏(Odds比 53.2, 95%CI 13.7-207.0, p < 0.01)が独立した危険因子であった.
【結論】術後の臓器体腔感染に対して,術前の患者の栄養状態や糖尿病の合併,背景肝などの因子は影響しない.肝切除における腹腔鏡下アプローチは,術後の臓器体腔感染を軽減する.
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