演題

PP4-6

当科における完全腹腔鏡下肝切除術の短期手術成績

[演者] 渋谷 和人:1
[著者] 吉岡 伊作:1, 真鍋 高宏:1, 渡辺 徹:1, 関根 慎一:1, 橋本 伊佐也:1, 北條 荘三:1, 奥村 知之:1, 澤田 成朗:1, 長田 拓哉:1
1:富山大学大学院 消化器・腫瘍・総合外科学

【はじめに】2010年の保険収載に伴い当科でも腹腔鏡下肝切除(LLR)を導入し,これまでに合計68例を経験した.本術式は2016年に2区域切除までを含めた全系統切除が保険適応となり,今後も症例数は増えていくことが予想される.【目的】現時点での教室のLLRの成績を,近年報告されたdifficulty scoring systemを用いて評価する.【手術手技】当科では肝機能温存の観点から開腹でも部分切除を基本方針としており,適応症例も比較的多く認めたため腹腔鏡下肝部分切除は抵抗なく導入が可能であった.当初はS2,S3,S5,S6の肝表面に位置する腫瘍を適応としていたが,手技の確立とともに全亜区域に適応を広げた.体位は左葉系で仰臥位,右葉系で左半側臥位.肝離断は超音波凝固切開装置およびCUSAにて行い,2012年からは止血デバイスとしてirrigation付きmonopolar soft凝固を導入.soft凝固にて切離線を前凝固した後にCUSAで肝実質破砕を行っている.この際,不必要に焼灼することは避けるよう心がけている.最近では,より安全な視野を得るべくS7S8領域の手技においてはカメラポートを右傍腹直筋に設置し,加えて肋間ポートを導入.腫瘍径が大きい症例など,出血が予想されるものではプリングルも使用している.【結果】2010年から2016年12月までの全LLR症例のうち,hybrid症例,切除標本が2個以上の症例および他疾患との同時切除症例を除いた57例を対象として検討を行った.平均年齢68.2歳(29-87歳).男女比39:18.肝細胞癌45例,転移性肝腫瘍7例,胆管細胞癌2例,良性腫瘍3例.ICG R15 平均14.7%(3-57%).Child-Pugh分類はA56例,B1例.Liver damageはA49例,B8例.腫瘍の局在は,S2/S3/S4/S5/S6/S7/S8=6/11/10/5/11/3/11例.平均腫瘍径2.4cm(1-5.4cm).Hr0/HrS/Hr1/Hr2がそれぞれ46/4/4/3例.Difficulty scoring systemにてスコアリングを行うと,平均値3.94点(1-10点).スコア3点以下の群(L群)と4点以上の群(H群)の2群に分けると,H群は有意に手術時間が長く(p=0.0005),出血量が多かった(p=0.0199).soft凝固を導入する前後で検討すると,導入前はH群はL群に比べて有意に出血量が多かったが,導入後は有意差はみられなくなった.【結語】手技の工夫により難易度の高い症例でも安全に施行が可能となった.
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