演題

PP4-4

腹腔鏡下肝切除術における手技の進歩はS7 S8症例における手術成績を向上させた

[演者] 竹井 健:1
[著者] 高 済峯:1, 中多 靖幸:1, 定光 ともみ:1, 富田 理子:1, 切畑屋 友希:1, 松阪 正訓:2, 向川 智英:1, 石川 博文:1, 渡辺 明彦:1
1:奈良県総合医療センター 外科, 2:奈良県総合医療センター 救命救急センター

【はじめに】腹腔鏡下肝切除術は低侵襲性と整容性を有する術式であり,デバイスや手技の進歩により徐々に適応が拡大されてきている.経験の蓄積による手術成績の変化とその要因について検討した.
【対象と方法】2016年10月までに当院で施行した腹腔鏡下肝切除症例のうち腹腔鏡補助下手術,HALSを除く完全腹腔鏡下肝切除術102例を対象とした.年齢は67.1±11.0歳,男性67例,女性35例で,対象疾患は肝細胞癌51例,転移性肝癌33例,その他18例であった.VIOシステムを用いてBiclamp crushing法を開始した2012年3月を境に前期群25例,後期群77例に分類した.また,肝切除部位別に手技的に困難とされる肝S7・S8肝切除の22例とそれ以外の80例に分類して検討した.
【成績】全体の手術時間は265.9±106.8分,出血量は156.3±254.6ml,術後在院日数中央値は9日であった.前期群の手術時間は235.9±86.0分で後期群の275.6±111.5分と差はなかったが,出血量は248.2±404.9mlから126.4±175.2ml(p=0.0371)へと減少した.出血量が500mlを超えた症例は前期群3例,後期群1例(p=0.0166)と有意に減少した.出血量は肝S7・S8以外の症例では前期後期で差はなかったが,後期ではS7・S8切除例において326.3±412.2mlから86.1±114.8ml(p=0.0346)へと有意に減少を認めた.後期群において大腸癌同時性肝転移に対する腹腔鏡下同時切除8例を含めた多臓器合併切除例が有意に増加して適応拡大が認められた.
【結語】腹腔鏡下肝切除術は前期,後期を通じて安全に施行できていた.エネルギーデバイスの進歩や症例の蓄積に伴う手術手技の向上は特に肝S7・S8を含む症例での出血量減少に寄与していると思われた.
詳細検索