演題

PP4-2

腹腔鏡下肝切除後短期成績の予測因子としてのDifficulty scoring systemの有用性に関する検討

[演者] 野沢 彰紀:1
[著者] 金沢 景繁:1, 清水 貞利:1, 高台 真太郎:1, 村田 哲洋:1, 久保 尚士:2, 玉森 豊:2, 井上 透:2, 塚本 忠司:3, 西口 幸雄:2
1:大阪市立総合医療センター 肝胆膵外科, 2:大阪市立総合医療センター 消化器外科, 3:大阪市立十三市民病院 外科

【目的】腹腔鏡下肝切除は低侵襲性治療として普及しつつあるが, 切除部位や腫瘍の大きさ等により手術手技の難易度に大きな幅があり,安全に施行するためには,しっかりとした手術計画が必要である.近年,腹腔鏡下肝切除術の難易度の術前評価法の一つとしてDifficulty scoring systemが提唱され, 腹腔鏡下肝切除術の手術時間や出血量と相関し,手術難易度の有用な予測因子であるとの報告が散見される.しかしながら,術後合併症など術後短期成績との関連については不明である.そこで今回,当院での腹腔鏡下肝切除症例を用いて,術後短期成績の予測因子としてのDifficulty scoring systemの有用性をretrospectiveに検討した.
【方法】過去6年間に当院で腹腔鏡下肝部分切除術(S1切除を除く)を施行した215例をDifficulty scoring system 6点以上の31例(H群)と5点以下の184例(L群)の2群に分け, その手術成績を比較した.
【結果】Difficulty scoreはH群中央値6点(6-7点)およびL群3点(1-5点)であった. 両群の患者背景因子では,年齢,性別,背景肝疾患,肝炎罹患率に差は見られなかった.両群で手術既往,再肝切除,肝硬変併存の有無に差はなかったが,H群でICG15分値が高値であり(H群13.5,L群11,p=0.019),Child B症例が有意に多かった(H群7例,L群13例,p=0.004).またH群で腫瘍径は大きく(H群3.5㎝, L群2.0㎝, p<0.001),腫瘍部位はH群で背側領域が多かった(H群31例,L群53例,p<0.001). 手術因子では,H群で手術時間が有意に長く(H群362分, L群228分, p<0.001),出血量が多く(H群140ml, L群75ml, p=0.019),赤血球輸血例が多かった(H群6例,L群14例,p=0.038)が,conversion rateは同等であった(H群3例,L群9例,p=0.283).術後因子では, Grade 3以上の術後合併症はH群で多く(H群7例,L群10例,p<0.001), 特にH群では胆汁漏発生が多かった(H群6例,L群0例,p<0.001)が,術後在院死亡例は認めなかった.術後在院日数はH群で長期であった(H群11日, L群8日, p<0.001).
【結論】当院の腹腔鏡下肝部分切除症例での検討ではDifficulty scoring systemは,手術因子のみならず,術後合併症の予測因子としても有用である可能性が示唆され,特にDifficulty score 6点以上の症例では,より慎重な手術戦略が重要であると考えられた.
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