演題

SY14-8

膵腹腔鏡下尾側膵切除術における膵液瘻発症予防を目的とした手技~膵周囲被膜温存を意識した層剥離

[演者] 細川 勇一:1
[著者] 永川 裕一:1, 佐原 八束:1, 滝下 智恵:1, 中島 哲史:1, 土方 陽介:1, 刑部 弘哲:1, 粕谷 和彦:1, 勝又 健次:1, 土田 明彦:1
1:東京医科大学病院 消化器外科・小児外科

【背景】当科では腹腔鏡下尾側膵切除(LDP)において,膵液瘻発症予防のために膵周囲被膜の温存を意識した層剥離を行っており,その手技および成績について報告する.当科ではLDPにおける膵切離に自動縫合器を使用しており,自動縫合器による膵切離においては膵周囲被膜の温存が術後膵液瘻の発生予防に重要であると考えている.解剖学的に膵背側には膵後筋膜,fusion fascia,腎前筋膜が存在する.SMVより尾側での膵切離を行う低悪性度膵腫瘍の場合はfusion fasciaの層で膵の脱転を行うが,この時にfusion fasciaの背側(腎前筋膜の前面)での剥離を行うことが重要である.この層で剥離することによりfusion fasciaが脱転された膵臓側につくこととなる.同様に,膵前面では膵前筋膜の確実な温存が重要である.これらの膵前面および膵後面における確実な膵周囲被膜の温存が,自動縫合器による膵切離の際の膵被膜強化および裂けの予防につながると考えている.【手術手技】実際の手術手技を提示する.①網嚢を開放の後,脾臓下極で腎前筋膜の層を露出しておく.②膵上縁の剥離に移るが,脾動脈神経の外層をメルクマールに膵背側に入るとfusion fasciaの背側に入りやすい.このfusion fasciaの背側の層で膵上縁から剥離を膵体尾部まで広く行う.③膵下縁に移り,膵前筋膜の確実な温存を目的に横行結腸間膜前葉の漿膜切開を膵実質から少し離れた位置で行う.Fusion fasciaの背側を意識し腎前筋膜の前面で膵下縁からの剥離を行うと,膵上縁の剥離とつながりfusion fasciaが膵臓側につくような層で膵体尾部が脱転される.⑤膵切離は膵前筋膜が膵全体を覆うように,膵臓背側につけたfusion fasciaの膜が剥離されないように意識して自動縫合器を用いて行う.SMV前面での膵切離の場合は,SMV前面で膵のトンネリングを行った後に膵切離を行うが,この場合も同様にSMVの外膜が露出する層を意識しfusion fasciaを膵臓側につけ,自動縫合器による膵切離を行う.【結果】当科でLDPを行った104例を対象とした.膵液瘻Grade A :17例(16%),Grade B:15例(14%)であった.【結語】LDPにおいて,膵液瘻軽減には膵周囲被膜を温存することが重要であると考えられる.
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