演題

PO5-6

肝原発MALTリンパ腫の2切除例

[演者] 和田 敬:1
[著者] 旭吉 雅秀:1, 土持 有貴:1, 濱田 剛臣:1, 矢野 公一:1, 今村 直哉:1, 藤井 義郎:1, 七島 篤志:1, 中村 都英:1
1:宮崎大学医学部外科学講座

【はじめに】肝原発悪性リンパ腫は節外リンパ腫の0.4%しかなく,そのほとんどがDiffuse large B-cell lymphomaで,MALT (Mucosa-Associated Lymphoid Tissue)リンパ腫は非常に稀である.今回,当科で経験した肝原発MALTリンパ腫の2切除例を報告する.【症例1】49歳,女性.家族に黄疸を指摘され,前医での血液検査および肝生検で自己免疫性肝炎と診断された.その際の腹部超音波検査で肝S5に右肝静脈に接する10 mm大の低エコー腫瘤を認め,腹部造影CTの動脈相で淡く造影され,門脈相でwash outされた.MRIのT1強調画像で低信号,T2強調画像で高信号を示し,Gd-EOB-DTPA造影では,動脈相で腫瘍全体が造影され,肝細胞相で造影剤の取り込みが低下していた.FDG-PETでは肝S5の腫瘤に一致してFDGの集積が亢進していた (SUVmax early:4.43, delay:4.54).AFP,PIVKA-II,CEA,CA19-9は正常範囲内であった.肝細胞癌の術前診断で肝S5亜区域切除を施行し,術後病理診断でMALT リンパ腫と診断された.【症例2】79歳,男性.人間ドックの腹部超音波検査で肝腫瘤を指摘され,近医を受診した.AFP,PIVKA-II,CEA,CA19-9は正常範囲内で,可溶性IL-2レセプターが802 U/mlと軽度上昇していた.腹部造影CTで肝外側区域に3 cm大の腫瘤性病変を認め,動脈相で腫瘍全体が淡く造影され,門脈相でwash outされ,総肝動脈背側から門脈左縁にかけてリンパ節が腫大していた.MRIのT1強調画像で低信号,T2強調画像で高信号を示し,Gd-EOB-DTPA造影では,動脈相で腫瘍全体が造影され,肝細胞相で造影剤の取り込みが低下していた.FDG-PETでは肝S2の腫瘤に一致してFDGの集積が亢進していた (SUVmax early:6.98, delay:8.45).また,総肝動脈周囲のリンパ節に一致してFDGの異常集積を認めた.腫瘍内を門脈が走行している像を認め,細胆管細胞癌を疑い,肝外側区域切除と腫大したリンパ節のsamplingを施行した.術後病理診断でMALTリンパ腫と診断された.【考察】肝原発MALTリンパ腫の病態は不明な点が多く,多彩な画像所見を呈するため画像所見のみで確定診断は困難であり,標準治療については一定の見解がない.肝細胞癌や転移性肝癌,胆管細胞癌などと診断され切除後に確定診断に至る例も少なくない.肝原発MALTリンパ腫の2切除例を経験したので若干の文献的考察を加え報告する.
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