演題

SY14-7

バイクリルメッシュと貫通密着マットレス縫合による新しい膵断端処理法の手術手技と成績

[演者] 亀井 敬子:1
[著者] 松本 逸平:1, 川口 晃平:1, 松本 正孝:1, 村瀬 貴昭:1, 里井 俊平:1, 中居 卓也:1, 竹山 宜典:1
1:近畿大学医学部 肝胆膵

【目的】尾側膵切除術(DP)後の膵液瘻(POPF)低減を目的とし様々な工夫が報告されているが,ISGPF grade B以上のPOPF発生頻度は10-25%と依然高率であり,その制御は重要な課題である.今回我々は,吸収性組織補強材であるバイクリルメッシュ(ETICON, Inc. US)とマットレス縫合を用いた新しい膵断端処理法を開発したので手術手技,成績につき報告する.
【対象】2014年9月より2016年9月まで,本法を実施した連続した開腹DP40例.
【手術手技】膵切離はメスを用いて行い,主膵管は4-0PDSで結紮する.吸収性組織補強材であるウーブンタイプのバイクリルメッシュを約1cmの幅に切り,膵断端部に巻きつける.弱弱弱弯両端針付き3-0非吸収性モノフィラメント糸を用いて膵前面の断端辺縁部から約5mmの部位よりメッシュと膵をほぼ垂直に貫通し,主膵管をまたぐように膵後面から前面へそれぞれ運針し,マットレス縫合を行い結紮する.膵断端頭側,肛側それぞれ1針ずつマットレス縫合で貫通させた同じ部位にメッシュと膵を貫通させ膵断端を結紮する.
【成績】患者背景は ,年齢中央値66歳 (30-86),男女比24:16,膵癌23例,慢性膵炎7例,嚢胞性膵腫瘍6例,その他4例であった.術式の内訳は全例開腹手術で,脾臓合併DP34例,脾臓温存DP3例,DP-CAR3例,多臓器合併切除8例であった.手術時間,出血量中央値は190分(91-384),583ml(70-3341)であった.術後ISGPF grade A は22例(55%) ,grade Bは2例(5%)に認めたが,grade Cは認めなかった.術後1, 3日目ドレーン排液中アミラーゼ中央値は2234, 766 U/L,術後在院日数は14日であった.Clavien分類grade II以上の合併症は7例(18%)であった.
【結論】本法はマットレス縫合により膵断端の小膵管からの膵液瘻を最小限にし,バイクリルメッシュにより針穴からの膵液瘻,結紮による膵実質の挫滅を防止できると推察される.本法は手技が簡便で,膵の厚さや硬度によらず実施可能であり,POPF制御に優れた方法であると考えられた.
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