演題

PO5-2

術前診断可能であった肝内胆管異所性膵の1切除例

[演者] 金本 斐子:1
[著者] 谷 卓:1, 藤森 大輔:1, 能登 正浩:1, 石井 要:1, 竹田 利弥:1, 八木 雅夫:1, 丹羽 秀樹:2
1:公立松任石川中央病院 消化器外科, 2:公立松任石川中央病院 病理診断科

【緒言】異所性膵は,胃や十二指腸,上部小腸などによく認められるが,胆管や胆嚢を含む胆道系においては非常に稀である.更に,本邦では術前に肝内胆管異所性膵と診断された報告例はない.今回我々は,術前診断可能であった肝内胆管異所性膵の1切除例を経験したので報告する.
【症例】40歳女性,腹痛・嘔気の症状を繰り返すため当院受診した.血液検査上は肝胆道系酵素異常や腫瘍マーカーの上昇は認めなかった.腹部CTで右肝内胆管拡張を認め,MRCPにて右肝管の狭窄を認めた.しかし,PET-CTでは腫瘍性病変は認めなかった.胆管癌除外のため,ERCPによる狭窄部の生検とブラッシング細胞診を行ったが,悪性所見は認めなかった.更なる精査目的に行った管腔内超音波検査による狭窄部からの生検にて異所性膵と診断された.悪性所見は認めないため,経過観察を行ったが,症状の継続,発癌の可能性があるため,診断より1年4か月後に手術治療の方針とした.良性病変である事,狭窄部及び拡張胆管の切除を行う事とした.胆管切離ラインは術中胆道造影及び胆道鏡にて決定し,肝右葉切除を施行した.病理組織学的検索では,胆管前後枝合流部の狭窄部抹消側の拡張した胆管壁に散在性にHeinrich1型の異所性膵を認めた.狭窄部及び拡張胆管には悪性所見は認めなかった.また,胆汁中のアミラーゼ値は,胆嚢内では441 IU/l,胆管内では200 IU/lと高値であったが,術後は39IU/lと低下していた.
【考察】肝内胆管異所性膵の胆管中アミラーゼは高値であり,膵胆管合流異常症と同様な病態と考えられる.よって,膵液に長期間にわたり曝露された胆道粘膜が過形成変化を経て癌化する可能性が否定できなかった.また,肝内胆管異所性膵に胆管癌が合併した症例が報告されており,狭窄部及び拡張胆管の切除が必要であると考えられた.
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