演題

PO5-1

肝内胆管癌疑いで右肝切除を行った,門脈域形成異常症候群の1例

[演者] 児島 和孝:1
[著者] 進藤 潤一:1, 橋本 雅司:1
1:虎の門病院 消化器外科

症例は47歳女性.人間ドックの腹部エコーで肝S5/8に境界不明瞭なφ40mmの占拠性病変を指摘され,当院肝臓内科受診となった.既往歴は良性の甲状腺ポリープと,右顔面神経麻痺.内服薬なし.病変は,CTでφ50mmの境界不明瞭な低吸収域として描出され,門脈優位相で造影不良域であった.また肝内胆管の不整な拡張が認められた.MRIでは,φ48mmの境界不明瞭,内部不均一な病変として描出され,T1強調画像低信号,T2強調画像軽度高信号,DWIで不明瞭であった. 早期相~肝細胞相いずれも造影低下領域として認められた.PET-CTでは,同病変にFDGの異常集積は認めなかった.腫瘍マーカーの上昇も認めず,経過観察となっていた.半年後のフォローのMRIで,胆管拡張の増悪を認め,悪性腫瘍を否定できなかったため,右肝切除術+胆嚢摘出術を施行した.術中エコーで明らかな胆管内腫瘤は確認できず,腫瘤の境界は不明瞭であったため予定通り右肝切除を行った.手術時間は2時間50分,出血量は660ml,術後経過問題なく,第11病日に退院となった.病理では,肉眼的に明らかな腫瘤性病変は認めず,胆管は最大径10mmまで拡張を認めていた.肝細胞や胆管には明らかな細胞異形は認められなかった.門脈域や隣接する領域には,拡張した小血管の集簇が多数みられ,著明な鬱血の所見であった.門脈域周囲の領域の肝細胞は高度に萎縮,消失を示していた.また胆管は不規則な嚢胞状の拡張を示し,壁の肥厚が認められた.胆管の器質的狭窄は認められなかった.以上より,門脈域形成異常症候群の一種と考えられた.門脈域形成異常症候群については,近藤らが複数の報告を行っており,本症例は限局性で瘢痕様組織を伴わないことから,これまで報告されている定型例に当てはまらないものであった.門脈域形成異常症候群に関する文献的考察を加えて報告する.
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