演題

PO4-6

サルコペニアと生体肝移植術後成績の関係

[演者] 若林 大雅:1
[著者] 篠田 昌宏:1, 板野 理:1, 尾原 秀明:1, 北郷 実:1, 日比 泰造:1, 八木 洋:1, 阿部 雄太:1, 松原 健太郎:1, 北川 雄光:1
1:慶應義塾大学医学部 一般・消化器外科

【背景】サルコペニアは骨格筋量の低下を特徴とする症候群で,生体肝移植において予後不良因子であるという報告が散見される.今回当院で施行した成人生体肝移植におけるサルコペニアと術後成績の関係について検討した.
【方法】2005~2016年に施行した成人生体肝移植93例を対象とし,サルコペニア群(SMI=女性SMI<38,男性SMI<42,S群),非サルコペニア群(N群)において,術後CRP(mg/dl),T-Bil(mg/dl),合併症,抜管までの期間,ICU滞在期間,経口摂取開始までの期間,歩行開始までの期間,在院期間,1年生存率を比較検討した.また,生存率に影響する予後因子に関して単変量解析,多変量解析を行った.【結果】93例の平均年齢は52.3±9.8歳,MELD Na中央値20,Child Pugh score 中央値11点であった.サルコペニアに該当したのは,女性65% (31/48例),男性47% (21/45例)であった.S群(52例)で術後5日目のT-Bilが有意に高値(S群 vs N群: 7.2±4.1 vs 5.3±3.4, p=0.019)で,遷延性腹水症例を多く認めた(48% vs 21%, p=0.008).一方,N群(41例)で急性細胞性拒絶を有意に多く認めた(9.6% vs 26%, p=0.034).CRP,術後合併症(肺炎,胆管炎,腹腔内,消化管,真菌感染症,血管合併症,中枢神経合併症,TMA),抜管までの期間(4.1±2.3日 vs 4.4±2.6日, p=0.55),ICU滞在期間(7.4±5.9日 vs 7.4±3.8日, p=0.99),経口摂取開始までの期間(11.7±9.6日 vs 12.2±6.5日, p=0.77),歩行開始までの期間(14.2±10.3日 vs 12.4±6.7日, p=0.40),在院期間(68.8±39.1日 vs 65.1±30.4日, p=0.66)に有意差を認めなかった.また,1年生存率も同様にS群79.3%,N群84.9%(p=0.73)で有意差を認めなかった.予後因子の単変量解析では,高齢ドナー(>50歳),レシピエント+ドナー年齢>110歳,高ビリルビン血症(>25mg/dL),MELD score>30,胆管空腸吻合施行,eGFR<40が有意な因子となり,多変量解析では高齢ドナー(>50歳),高ビリルビン血症(>25mg/dL),2011年以前の移植実施の3因子が独立した有意な因子であり,サルコペニアは有意でなかった.【結語】成人生体肝移植において,サルコペニアの有無は術後経過に限定的な影響を与えるものの,生存率の予後因子ではない可能性が示唆された.

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