演題

PN6-7

肝内胆管癌における新規バイオマーカーによる予後予測 ~新たな治療戦略の確立を目指して~

[演者] 池野 嘉信:1
[著者] 瀬尾 智:1, 楊 知明:1, 祝迫 惠子:2, 田浦 康二朗:1, 安近 健太郎:1, 岡島 英明:1, 海道 利実:1, 上本 伸二:1
1:京都大学大学院 肝胆膵・移植外科学, 2:京都大学大学院 標的治療腫瘍学

【目的】肝内胆管癌(ICC)は予後不良な悪性腫瘍の一つであり外科的切除が唯一根治を望める治療法であるが,術後再発は好発である.ICCの予後改善のためには,術前に予後を予測し迅速に手術を軸とした治療戦略を立てることが必要である.予後因子として,他癌腫ではRAS遺伝子変異の関連が報告されているが,ICCでの報告はまだない.また,膵癌や肺癌ではFDG-PETを用いて腫瘍全体で糖代謝を評価するMetabolic tumor volumetory(MTV)と予後との相関が報告されている.今回,我々はICCにおいてRAS変異,MTVを含めた術前因子による予後予測スコアの構築を目指した.
【対象】1993年4月から2015年12月までの肝内胆管癌症例166例のうち,術前FDG-PET検査にてMTVが測定され根治切除がなされた腫瘤形成型ICC 37例においてKRASおよびNRAS(All RAS)遺伝子変異を検索しMTVおよび術前臨床検査との相関を検討した.生存率をKaplan-Maier法にて算出し,All RAS遺伝子変異,MTVを含めた臨床病理学的因子において予後を解析した.
【結果】All RAS遺伝子変異と臨床病理組織学的因子との間においては有意な相関はみとめなかったが,MTVとの間に有意な相関をみとめ,All RAS野生型群でMTV平均値54.6±86.6,変異型群で126±127と変異型群において高値を示した(P=0.013).また,All RAS変異型群はOS,RFSともに不良であり(OS,RFSともにP<0.001),All RAS遺伝子変異は強力な予後不良因子であった.OSおよびRFSにおいて単変量で有意差をみとめた因子としてMTV,CA19-9および肝内転移があり,これらの多変量解析ではAll RAS遺伝子変異とMTVが残った.そこでAll RAS遺伝子変異,MTV高値の有無によるscoreにより層別化すると,score高値においてRFS不良であった(P<0.001).
【結語】
All RAS遺伝子変異およびMTVを用いたscoreによって予後を予測し,MTVによりAll RAS遺伝子変異を予測することで,迅速で最適な治療戦略が立てることができる可能性を示唆した.
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