演題

PN5-1

食道亜全摘,胃全摘,胸骨前回結腸再建後に生じた遠位部胆管癌に対してHPDを施行した一例

[演者] 村松 俊輔:1
[著者] 野口 典男:1, 前川 彩:1, 椙村 彩:1, 石沢 遼大:1, 春日 聡:1, 岩田 乃理子:1, 太田 俊介:1, 川上 雅代:1, 小林 宏寿:1
1:東京都立広尾病院 外科

【背景】近年,消化器悪性腫瘍の治療成績向上と共に長期生存例が増加し,異時性の重複癌の発生頻度が増加している.食道悪性腫瘍に対する食道亜全摘,胃管再建後の膵頭十二指腸切除(以下PD)の報告例は散見するが,食道亜全摘,回結腸再建後に施行したHPDの報告例は未だない.今回我々は食道亜全摘,胃全摘,胸骨前回結腸再建後にHPDを施行した一例を経験したので報告する.
【症例】74歳男性.10年前に他院で同時性の食道癌,胃癌に対し右開胸開腹食道亜全摘,胃全摘,胸骨前回結腸再建,3領域郭清を施行した.4年前に腹部大動脈瘤に対して,当院でステントグラフト内挿術を施行している.経過観察のCTで総胆管内腫瘤を指摘された後,発熱,黄疸を来し,精査加療目的で入院となった.前区胆管からのPTCDを施行し,三管合流部より十二指腸側に3㎝の狭窄を認めた.内瘻化の際,左肝管に流入した造影剤の排出障害,B4分岐後の左肝管狭窄を認めた.胆汁細胞診はclassⅢbだった.遠位部胆管癌,左肝管狭窄の診断にて手術を施行した.PDを行い,術中胆道鏡,迅速組織診断の結果で肝左葉切除を行う方針とした.胸骨前回結腸再建を行っており,回結腸動静脈を損傷すれば残存結腸による再建も危惧された為,下部消化管内視鏡検査で大腸病変がないことを確認し,大腸切除に準じた前処置を行った.手術は左半側臥位で行い,右季肋下斜切開で開腹した.腹腔内から胸骨前に挙上された回結腸および血管茎が確認され,周囲臓器より剥離することが出来,PDが可能であった.術中迅速診断で胆管切離断端陽性で,胆道鏡で左肝管内に上皮内進展を疑う粒上の隆起が見られ,肝左葉切除が必要と判断した.皮切を挙上回結腸右側に沿って剣状突起まで進め,挙上回結腸と肝の間を剥離し,肝左葉の脱転が可能となり,肝左葉切除も施行しえた.術後は胆管空腸吻合部からの胆汁漏(Clavien-Dindo分類 GradeⅢa)を認め,術後10病日にドレーンから血性排液を来した.造影CTで左肝動脈断端に仮性瘤を認め,coilingによる塞栓術を施行した.その後経過良好にて47病日に退院となった.最終診断はBd,38x30x18cm,Adenocarcinoma, muc>pap-tub1, pT2(SS), ly0, v0, ne1, pN0(0/22), pDM0, pHM0, pEM0, 根治度R0であった.無再発で4か月生存中である.
【結語】食道亜全摘,胃全摘,胸骨前回結腸再建後の肝内水平伸展を伴う胆管癌においても,HPDを行うことで,根治的切除が可能であった.
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