演題

PN4-2

同時異所性浸潤性胆道癌の臨床病理学的特徴の検討

[演者] 中西 喜嗣:1
[著者] 岡村 圭祐:1, 土川 貴裕:1, 中村 透:1, 野路 武寛:1, 浅野 賢道:1, 田中 公貴:1, 七戸 俊明:1, 平野 聡:1
1:北海道大学大学院 消化器外科学分野Ⅱ

【緒言】膵胆管合流異常症では,しばしば胆道,特に胆管と胆嚢に同時異所性に腫瘍を発生すること知られている.しかし,胆嚢を除いた肝外胆道に同時異所性に浸潤癌を発生することは稀であり,このような症例群の臨床病理学的特徴は明らかでない.
【目的】肝外胆道癌における同時異所性浸潤性癌症例の臨床病理学的特徴を明らかにすること.
【対象,方法】対象は 2000 年 3 月 ~ 2016 年 8 月までに当科で施行された肝外胆道癌(肝門部領域癌,遠位胆管癌,胆嚢管癌)で,病理学的に浸潤癌を少なくとも2箇所に認めた症例とした.これらを,単一病変胆道癌(通常型)と臨床病理学的因子,予後を比較した.Staging は AJCC/UICC 第 7 版に準じて行った.各統計解析は,p < 0.05 を有意差有りとした.
【結果】379名の肝外胆管癌,胆嚢管癌のうち,同時多発浸潤癌は18 例(4.7%)認め,年齢中央値は 68 歳 (54 - 84),男女比は13 : 5 であった.画像上の明らかな膵胆管合流異常症例は認めなかった.浸潤部は 14 例で 2 箇所,4 例で 3 箇所以上であった.13 例(72%)において異所性浸潤部間に上皮内癌の介在を認めた.局所最進行度では,pT1/ pT2/ pT3/ pT4 は 4/ 10/ 2/ 2 例であった.リンパ節転移は 12 例 (67%) で陽性,pStage I/ II/ III/ IV は,6/ 5/ 5/ 2 例であった.生存中央値 (MST) は 32ヶ月であり,9 名が肝転移を来していた.通常型症例との比較では,年齢,性別,リンパ節転移頻度に差はなかったが,局所進行度の比較(pT1,2 vs pT3,4)では,同時異所性浸潤癌群が通常型よりpT1, 2 の頻度が高かった(p=0.032).生存解析においても,通常型(MST, 45ヶ月)と有意差を認めなかった(p=0.32)
【結語】72% の症例で異所性浸潤部間に上皮内癌の介在を認めたことから,同時異所性浸潤性胆道癌は,胆道に上皮内癌が広がった状態(いわゆる "field carcinozation")を背景に発生することが多いと考えられた.また,通常型と比較して局所進行度が進んでいない症例が多いにもかかわらず,予後において通常型と統計的に有意差がなく,またMSTが短いことから,術後は慎重な経過観察が必要である.Retrospective な画像上での検討であるが,胆嚢と胆管に同時多発性に胆道癌が発生するとされる胆管膵管合流異常が今回の症例群では認めなかったことから,遺伝子解析など他の発生原因の探求が今後必要である.
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