演題

PM6-7

当院の開腹総胆管結石手術におけるSSIの現状と問題点

[演者] 大山 莉奈:1
[著者] 水谷 聡:1, 鈴木 英之:1, 山岸 征嗣:1, 渡辺 昌則:1, 内田 英二:2
1:日本医科大学武蔵小杉病院 消化器病センター, 2:日本医科大学付属病院 消化器外科

はじめに
腹腔鏡手術が普及した今日においても,一部の総胆管結石手術は開腹手術を余儀なくされる.術野の操作性と触覚においては開腹手術が腹腔鏡手術に勝る場合が多いが,大きな開腹創による術後QOLの低下と,SSI発症率の上昇に関しては明らかに開腹手術が劣っている.今回,当院の開腹総胆管結石手術におけるSSIの現状を検討してその問題点と改善すべき事項を考察する.

患者と方法
2009年から2016年までに当院で総胆管結石症と診断され,開腹手術が施行された47例について検討した.開腹手術の適応は,開腹胆嚢摘出術の既往,総胆管径10㎜未満の総胆管結石,巨大結石や積み上げ結石など腹腔鏡手術,内視鏡手術では困難と考えられる症例としている.開腹方法は上腹部正中切開を行っている.創縁保護はタオルによる従来法を用いている.更に数例で術前後の創部培養検査を行っている.また同様に胆管切開を行う膵頭十二指腸切除症例(上中正中切開)75例とも比較検討した.

結果
術式の内訳は開腹胆嚢摘出術+総胆管切開術:15例,開腹胆嚢摘出術+総胆管切開C-tube:14例,開腹胆嚢摘出術+総胆管切開T-tube:4例,開腹胆嚢摘出術+総胆管切開+胆管十二指腸(空腸)吻合術:9例,総胆管切開術:1例,総胆管切開+胆管十二指腸(空腸)吻合術:4例.SSIを発症した症例は13例27.7%であった.表層型10例,深部型3例.術式と発症形式に関連はなかった.創部で証明された菌はMRSA,エンテロコッカス,エンテロバクター,が多かった.また術前ENBD挿入例では,ほぼ同一菌が検出された.膵頭十二指腸切除術におけるSSIの発生頻度は6.7%であり,有意に総胆管手術にSSI発症率が高率であった.

結論
当院のSSI発症率は報告されている頻度(10-33%)と同様に高率であった.より切開創の大きな膵頭十二指腸切除術と比較してもSSIの発生頻度が高かった原因は,胆道ファイバー使用時に大量の生理食塩水を用いることにより,腹腔内にあふれ出した胆汁内細菌を含んだ生理食塩水が創縁に悪影響を及ぼしている可能性が示唆された.開腹総胆管結石手術においてはタオルによる従来の創縁保護では不十分で,フィルム系の創部保護などが必要と考えられた.
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