演題

PM6-5

高齢者の胆管結石に対する内視鏡的治療-EPBD切石術後の再発危険因子は何か

[演者] 塩澤 俊一:1
[著者] 碓井 健文:1, 久原 浩太郎:1, 土屋 玲:1, 河野 鉄平:1, 山口 健太郎:1, 横溝 肇:1, 島川 武:1, 吉松 和彦:1, 成高 義彦:1
1:東京女子医科大学東医療センター 外科

【背景・目的】胆管結石は高齢になるにつれて罹患率が上昇することが知られており, 急性胆管炎や胆石性膵炎など重篤な病態を呈すこともあるため原則として治療の適応である. 当科では内視鏡的乳頭バルーン拡張術(EPBD)による切石術を第一選択としてきたが, 今回, 高齢者に対するEPBD切石術後の長期治療成績からみた再発危険因子につき検討した.
【対象・方法】2000年1月から2015年12月までに胆管結石に対しEPBD切石術を施行し長期に経過観察しえた352例(男性166例, 女性186例)を対象とした. 年齢により超高齢者(A群:85歳以上)32例, 高齢者(B群:75~84歳)130例,非高齢者(C群:74歳以下)190例の3群に分類し, 臨床像, 治療成績, 再発危険因子を検討した.
【結果】1)患者背景:重篤な基礎疾患, 認知症, 抗凝固/抗血小板剤の内服は有意にA群で多かった(p<0.0001). 総胆管結石数はA群に多く(p=0.0076), 総胆管径もA, B群で有意に拡張していた(p=0.0032, p=0.0095). 急性胆管炎の併発, 傍乳頭憩室は3群間に差はなかった. 2)治療成績:EPBD完全切石率はA群78%, B群98%, C群99%であった. EPBD切石の早期の偶発症は3群間で差を認めなかった. 3)胆嚢結石保有率:A群(21/32) 66%, B群(109/130) 84%, C群(167/190) 88%で, このうちA群(8/21) 38%, B群(95/109) 87%, C群(160/167) 96%に腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行した. 4)長期成績:胆管結石の再発・急性胆管炎の発症はA, B群で有意に多かった(p<0.0001). このうちA群の(3/6) 50%, B群の(12/14) 86%, C群の(2/2) 100%に再度EPBD切石術を施行し, 完全切石不能のため胆管ステントを挿入した症例はA群(3/3) 100%, B群(1/2) 50%, C群(0/0) 0%であった. 5)胆管結石の再発危険因子を多変量解析すると, 男性, 75歳以上, 胆管径15mm以上, 傍乳頭憩室, 胆嚢(結石)温存, が独立因子であった.
【結語】1)高齢者の胆管結石に対するEPBD切石術は概ね妥当な長期治療成績と評価しえた. 2)胆管結石の再発危険因子は男性, 75歳以上, 胆管径15mm以上, 傍乳頭憩室, 胆嚢(結石)温存, の5因子であった. 3)有石胆嚢は急性胆嚢炎や胆管内への落石の可能性があるため, 高齢者でも可能な限り胆嚢摘出術を施行すべきと考えられた.
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