演題

PM5-4

緊急胆嚢摘出術99症例の術後合併症

[演者] 北田 浩二:1
[著者] 稲垣 優:1, 安井 七々子:1, 徳永 尚之:1, 岩垣 博巳:1
1:福山医療センター 外科

目的)
壊死性胆嚢炎等に対する緊急胆嚢摘出術後の経過は,発症後の経過日数,穿孔/膿瘍形成の有無といった重症度,さらにその患者背景によって大きく異なっている.過去の症例を解析し,個々の患者で,術後起こり得る合併症を予想する.
方法)
2010年7月より2014年12月までに,緊急で施行した胆嚢摘出術症例99例を検討対象とした.なお,当院では腹腔内膿瘍形成例や,発症後長期間経過し線維性硬化のため明らかに鏡視下手術が困難と考える症例を除いて,腹腔鏡下手術を基本としている.創部感染を除くClavien-Dindo grade2以上を術後合併症とした.
結果)
全症例の年齢は70(25-95)歳,男性が61%(60例)であった.
術前診断は全例,胆嚢捻転2例を含む急性胆嚢炎であったが,最終診断で1例のみ急性肝炎に対して胆嚢摘出術を施行されていた.
鏡視下に切除を完遂したものは63%(62例)であった.開腹となった38%(37例)のうち,腹腔内をまず鏡視下に観察/処置を試みたものは19%(7例)であった.
手術操作部位の合併症は,総胆管離断1例,術後創部出血1例,胆汁漏を含む腹腔内膿瘍は8例であった.糖尿病の既往(p=0.07),抗血小板の常用(p=0.09)に傾向を認めた.開腹11%(4例) vs 鏡視下6%(4例)で差を認めなかった(p=0.47).術前低ビリルビン(p<0.01),術前後血小板増多(p<0.01)は合併症発症の有意な因子であった.
呼吸器合併症が最多(14例)であった.開腹となった症例の27%(10例)に呼吸器合併症を認めた(p<0.01).抗血小板薬の常用(p<0.04),高齢(p<0.01),術中出血量(p<0.01),術前低TP,alb(p<0.01),術後好中球%(p<0.03),術後リンパ球%(p<0.02)は呼吸器合併症の発症リスクであった.
その他,たこつぼ型心筋症,脳梗塞,心房細動,副腎不全,インフルエンザをそれぞれ1%(1例),術後総胆管結石による病態4%(4例),尿路感染2%(2例),細菌性腸炎4%(4例)を認めた.
考察)
手術時間,術前後CRP,WBCは合併症の発生と相関が無く,合併症発症の予測因子にはならなかった.腹腔内膿瘍や胆汁漏の発症は開腹か鏡視下といった術式で差はなく,同程度の配慮が必要である.呼吸器合併症は開腹症例が多く,重症例で免疫や栄養状態の低下した症例に発症しやすいと考えた.呼吸器合併症の多くは80歳(60-95)の高齢者であった.高齢者の開腹症例で呼吸器合併症の発生予防,適切な管理重要である.
結語)
呼吸器合併症は高齢者で開腹手術症例に多く認めた.胆汁漏を含めた手術操作部位の感染症は術式に関わらず認められた.
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