演題

SY14-3

膵体尾部切除における膵切離と断端処理法~hand-sewn法とStaple法

[演者] 北郷 実:1
[著者] 板野 理:1, 篠田 昌宏:1, 阿部 雄太:1, 日比 泰造:1, 八木 洋:1, 今井 俊一:1, 中野 容:1, 北川 雄光:1
1:慶應義塾大学医学部 一般・消化器外科

(緒言)膵体尾部切除における膵切離と断端処理に関して様々なデバイスの進歩と手術手技の工夫がなされているが未だ最良の方法は明らかになっていない.我々は,膵切離断端を術中迅速病理検査に提出する場合はメスで膵切離を行い断端処理はfish mouth法(hand-sewn法)を選択し,膵切離断端を術中迅速病理検査に提出しない場合もしくは十分に距離がある場合は自動縫合器による膵切離(Staple法)を基本方針として行っている.今回,当科におけるそれぞれの膵切離と断端処理をビデオにて供覧し当科の成績を報告する.
(術式)Hand-sewn法では1. メスで膵臓を切断し,2. 膵断端は縫合もしくは水出しバイポーラにて止血を行い,3. 主膵管をZ縫合にて閉鎖した後, 4. 膵断端実質は膵実質を損傷しないように縫合閉鎖する.Stapler法では1. 膵切離ラインに着脱式腸鉗子(可能なら2本)をかけて膵実質を圧迫し,2. 自動縫合器にて膵臓を切断する.膵実質が厚いもしくは硬く着脱式腸鉗子で圧迫されない場合にはHand-sewn法に変更する.(対象)2012年から2016年まで膵体尾部切除を施行した92例.(結果)平均年齢64歳,男性51例.術前診断は膵癌42例,IPMN(C)16例,PNET10例,SPN6例,MCN6例,その他12例.開腹手術が49例,腹腔鏡(補助)下手術43例.膵切離と断端処理がHand-sewn法49例(うち開腹下43例),Staple法43例(うち開腹下6例)であった.ドレーン抜去の中央値は5日(3~41日).IPGPFのGrade N/A/B/Cは45/37/9/1例で,B・Cは10例(10.9%)であった.膵切離・断端処理法別では,Hand-sewn法が21/21/6/1(B・C 7例 14.3%),Staple法が24/16/3/0(B・C 3例 7%)で統計的に有意差を認めなかった(オッズ比2.222 (0.537-9.194)).超音波を用いた非侵襲的線維化測定法(エラストグラフィー)としてAcoustic radiation force impulse(ARFI)にて術前に膵硬度を測定したところ,ARFIにより測定されるshear wave velocity(SWV)がISGPF Grade A以上を予測する因子として同定された.(結語)Hand-sewn法とStaple法は膵切離・断端処理法として膵液瘻発生に差を認めなかった.ARFIによる膵硬度測定が ISGPF Grade A以上の予測として有用であった.
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