演題

PL6-5

極めて稀な膵頭部癌と膵頭部原発MALTリンパ腫の衝突腫瘍の1例

[演者] 岩田 一馬:1
[著者] 平井 隆二:1, 松田 直樹:1, 吉岡 遼:1, 緒方 良平:1, 治田 賢:1, 高尾 智也:1, 藤井 徹也:1, 金谷 欣明:1, 丸山 修一郎:1
1:姫路聖マリア病院 外科

膵頭部を中心に膨張性に発育する10cm大の悪性リンパ腫の内部に3cm大の膵頭部癌が発生し衝突癌となった極めて稀な1例を経験したため,文献的考察を交え報告する.
症例は82歳女性.めまいを主訴に来院され,肝胆道系酵素の上昇を認めた.CTにて膵頭部を中心に約10cm大の腫瘤性病変を認めた.腫瘤は総胆管や門脈,肝動脈を取り囲むように発育しているが浸潤所見は無く,十二指腸の内腔も保たれていた.SMVやSMAを圧排していたが浸潤所見はみられなかった.リンパ腫を疑ったが,膵頭部内の総胆管や膵管の狭窄・壁肥厚,上流胆管の拡張があり,膵頭部癌の併存が疑われた.MRIのT1強調脂肪抑制画像ではCTと同部位に10cm大のやや低信号な腫瘤性病変を認め,その中心に3cm大の高信号を呈する腫瘤性病変を認めた.FDG-PETでは,中心部の3cm大の腫瘤に強い集積を認めた.エコーでは,中心の腫瘤は高エコー病変として描出され,その周囲に膵と等エコーからやや低エコーを示す領域を認めた.以上の画像検査より,膵頭部には2つの異なる性質の腫瘍が存在すると思われ,それぞれエコーガイド下針生検を行った.生検の結果,中心の高エコー病変はadenocarcinomaであり,辺縁の腫瘤はlow grade B cell lymphomaと診断された.膵癌が予後を決定すると思われたため,膵頭十二指腸切除術を施行した.膵頭部に10cm大の弾性硬の腫瘤があり,リンパ腫部分は横行結腸間膜・後腹膜にも連続して進展していたが膵癌根治術を目的として切除した.切除標本割面では膵内胆管周囲に3cm大の白色で硬い腫瘍を認め,胆管に浸潤していた.周囲の比較的柔らかい腫瘍部分は十二指腸粘膜まで浸潤していた.免疫組織化学検査で,膵頭部癌とMALTリンパ腫の衝突癌と診断された.MALTリンパ腫の原発部位は病理学的には十二指腸か膵か判定困難であった.文献報告より,十二指腸原発のMALTリンパ腫は進達度SMまでの小さな病変の報告がほとんどであり,また過去の膵原発悪性リンパ腫本邦報告38例からみて,自験例は膵原発と考えるのが妥当と思われた.膵原発MALTリンパ腫の報告は2例のみであり,かつ,膵癌とMALTリンパ腫の衝突癌の報告例はなく,自験例は極めて稀な症例であると考えられた.
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