演題

PL6-4

腹腔鏡補助下にて摘出し得た小腸間膜異所性膵の1例

[演者] 三木 晶森:1
[著者] 堀口 雅史:1, 大野 龍:1, 松原 弘侑:1, 後藤 徹:1, 山本 健人:1, 岡本 拓也:1, 寺嶋 宏明:1
1:医学研究所北野病院 消化器センター消化器外科

【はじめに】
異所性膵は,膵臓と解剖学的に離れた臓器に異所性に存在する膵組織である.胃や十二指腸などの上部消化管に発生することが多く,消化管粘膜下腫瘍として認めることが多い.小腸間膜由来の異所性膵の報告は稀であり,腹腔鏡補助下に治療しえたので当科の過去10年分の異所性膵の検討と若干の文献的考察を加えて報告する.

【症例】
症例は56歳女性で,SLEやSjogren症候群に対してステロイドおよび免疫抑制剤を内服されていたが,下腹部痛を主訴に当院消化器内科を受診.その際の腹部造影CTにて小腸間膜に膵管拡張を伴った異所性膵および周囲脂肪織濃度上昇を認め,抗菌薬加療により軽快.その後,膵炎を短期間に繰り返すようになったため手術加療を希望され当科紹介受診となった.術前のCTにて膵炎による腹腔内の癒着が否定的であったため,腹腔鏡下摘出術を予定した.手術所見では腹腔内に膵炎の癒着は見られず,Treitz靭帯より20cm肛門側の小腸間膜に腫瘤性病変を認め,体外操作で腸間膜処理が可能と判断し小開腹下に小腸部分切除を施行した.標本では肉眼的に腸管粘膜面に外分泌口は認めなかった.病理診断では,HeinrichⅠ型で膵管上皮に軽度異型を認める所見であった.

【考察】
異所性膵は迷入膵や副膵とも呼ばれ,本来の膵臓とは解剖学的にも血行的にも連続性がなく,他臓器中に存在する膵組織と定義される.剖検例では0.11~0.21%に認められ,発生臓器は膵臓に近い胃および十二指腸に多く,空腸まで含めた消化管が90%近くを占めると報告されている.
症状としては大半が無症状で経過し,内視鏡検査や術中,剖検で偶然発見されることが少なくない.当科では過去10年に異所性膵が10症例あり,小腸間膜由来のものは本症例のみであった.異所性膵(小腸異所性膵による症状を契機に発見された)に関して医中誌にて文献検索を行ったところ,24例の報告があった.そのうち小腸間膜由来の異所性膵は4例のみであった.
異所性膵の手術適応としては腹痛などの症状を伴うものの中で閉塞や出血,潰瘍を伴う症例や癌化が疑われる症例,腫瘍径の大きいもの,形状が急激に増大化するもの(悪性の可能性がある)である.異所性膵のうち,大部分が良性であるため過大な手術侵襲は避けるべきだが,癌化が疑われる場合は,その切除範囲は今後の検討課題である.
詳細検索