演題

PL6-2

膵癌と鑑別困難であった自己免疫性膵炎切除例の検討

[演者] 真鍋 高宏:1
[著者] 吉岡 伊作:1, 渋谷 和人:1, 澤田 成朗:1, 関根 慎一:1, 橋本 伊佐也:1, 北條 荘三:1, 奥村 知之:1, 長田 拓哉:1
1:富山大学附属病院 消化器外科

【はじめに】自己免疫性膵炎(Autoimune Pancreatitis;AIP)は,しばしば閉塞性黄疸で発症し,時に膵腫瘤を形成する特有の膵炎である.組織学的には,リンパ球と形質細胞の高度な浸潤と線維化を認め,ステロイドに劇的に反応することを治療上の特徴とする.多様な経過および形態を示し,特に限局性病変を示す病変は,しばしば膵癌との鑑別に難渋することが知られている.【対象】今回,われするわれは,2006年から2016年にかけ,当科において,膵癌との鑑別が困難であった自己免疫性膵炎切除例(4例)につき検討した.【結果】平均年齢は,67.5歳(62-72歳).全症例が男性であった.閉塞性黄疸で発症した症例が1例,腹痛で発症した症例が1例,2例が無症状であった.病変部位は,2例が膵頭部,2例が膵尾部であり,画像所見上は3例が膵癌と類似する腫瘤性病変であり,1例が混合型膵管内乳頭粘液腫瘍に類似する形態を示した.腫瘍マーカーは閉塞性黄疸にて発症した症例にのみ上昇を認めていた.また術前にIgG4を測定した症例は1例のみであったが基準値範囲内であった.術前診断は3例が膵癌,1例が混合型膵管内乳頭粘液腫瘍であり,2例に膵頭十二指腸切除術,2例に膵体尾部切除術が施行された.いずれの症例も切除標本にて,IgG4関連自己免疫性膵炎と確定診断した.【考察】retrospectiveに検討を行ったが,画像所見上は,自己免疫性膵炎に特徴的な所見とされるcapsule like rimやduct penetrating signも不明瞭であり,膵癌との鑑別が困難であった.また,IPMNに類似した画像所見を示す自己免疫性膵炎も経験し,膵腫瘍性病変の手術にあたっては,術前評価の段階で,確実にIgG4の測定を行うべきであると考えられた.IgG4が基準値を上回る症例は,自己免疫性膵炎を念頭に置き,積極的にEUS-FNA等の検査を追加すべきである.しかしながら,IgG4正常範囲内の症例も存在し総合的かつ慎重な術前診断が望まれる.自己免疫性膵炎と膵癌の鑑別につき,文献的考察を加え報告する.
詳細検索