演題

PL6-1

十二指腸狭窄をきたしたGroove Pancreatitisの3例

[演者] 梅林 佑弥:1
[著者] 福成 博幸:1, 青木 真:1, 中尾 圭介:1, 設楽 兼司:1, 林 哲二:1
1:新潟県立十日町病院 外科

【緒言】Groove Pancreatitis(以下GP)は十二指腸下行脚と膵頭部,総胆管に囲まれた溝,いわゆるGroove領域を中心とした限局性慢性膵炎を指す.十二指腸狭窄を来したGPの3例を経験したので報告する.
【症例1】74歳男性.嘔吐を主訴に受診した.上部消化管内視鏡検査 (以下EGD)にて十二指腸に全周性の狭窄があり,腹部CTでは十二指腸-膵頭部の間に浮腫性変化と嚢胞を伴う腫瘤像と十二指腸の全周性の壁肥厚を認めた.保存的に軽快せず膵頭十二指腸切除術を施行した.病理では副膵管閉塞による限局性膵炎像と十二指腸の高度の線維化を呈しGPと診断された.
【症例2】56歳男性.嘔吐と貧血を主訴に受診した.腹部CTでは嚢胞を伴う膵頭部腫大を認め,EGDでは膵付着側からの浮腫性圧排像がありGPと診断した.嚢胞が十二指腸に穿破し間欠的な消化管出血が続いたため腹部血管造影を施行.造影上,動脈瘤の形成は認めなかったが腹腔動脈起始部閉塞と膵十二指腸動脈領域のencasementを認め,正中靱帯症候群による膵十二指腸動脈領域からの出血と診断した.正中弓状靱帯切離後,TAEを行い止血し得た.十二指腸の浮腫性圧排所見は保存的に軽快した.
【症例3】52歳男性.嘔吐を主訴に受診した.腹部CTで浮腫性変化を伴う腫瘤像と十二指腸の全周性の壁肥厚,EGDで十二指腸の浮腫状狭窄を認めGPと診断した.胃管を留置し保存的に軽快した.
【考察】GPは大酒家の中高年男性に好発することから長期のアルコール摂取が副膵管領域の膵液欝滞を惹起しGroove領域を中心に炎症を来すと推測され,当科で経験したGPの3症例も全て大酒家であった.また進行した膵頭部癌との鑑別が問題となることもある.一般的な腹部CT所見として早期に濃染不良で後期相で濃染する腫瘤として描出され,その腫瘤内や十二指腸粘膜下に嚢胞が形成されることが多い.総胆管は壁不整の無い管状狭窄を来すこともあるが膵管拡張が見られることは稀である.また十二指腸壁の生検でBrunner腺過形成が高頻度に見られる.保存的に治癒する症例もあるが,狭窄が改善しない場合やGroove膵癌を否定出来ない場合は手術を要するため,本疾患を常に念頭におく必要があると考えられる.
詳細検索