演題

PL5-5

術前診断が困難であった膵漿液性嚢胞腫瘍の2例

[演者] 山田 玲央:1
[著者] 枝元 良広:1, 三原 史規:1, 黒川 敏昭:1, 山田 和彦:1, 橋本 政典:1, 矢野 秀朗:1, 猪狩 亨:2, 田嶋 強:3
1:国立国際医療研究センター病院 外科, 2:国立国際医療研究センター病院 病理診断科, 3:国立国際医療研究センター病院 放射線診断科

【はじめに】
膵SCN(serous cystic neoplasm)の典型例はhoneycomb appearanceを呈する小嚢胞の集簇で,microcytic typeと呼称され,その診断は比較的容易である.
しかしSCNには,比較的大型の嚢胞で構成されるmacrocystic typeや,充実様部分が主体のsolid typeなどの亜型が存在する事が知られ,特にmacrocystic typeは,分枝型IPMNや粘液嚢胞腺腫mucinous cystic neoplasm(MCN)など,他の嚢胞性腫瘍との鑑別が困難となる事がある.
今回我々は,術前診断が困難であったmacrocystic typeのSCNを2例経験した為報告する.
【症例1】
51歳女性.主訴は心窩部不快感.近医にて施行された腹部造影CTにて,膵尾部に50mm大の単房性嚢胞性腫瘤を認め,当院受診.MRCP及びEUSでは,嚢胞内容はT1低信号,T2高信号を呈し,主膵管との交通はなく,大型の嚢胞が主体だが,一部辺縁分葉状で,隔壁の存在が疑われた.壁在結節は認めなかった.膵MCN疑いにて用手補助腹腔鏡下膵体尾部脾切除術を施行した.標本の肉眼検査所見では膵尾部に5.0×3.5×3.5cm大の嚢胞性腫瘍を認め,内溶液は漿液性であった.病理組織検査では単層の立方上皮を認めmacrocystic serous cystadenomaであった.
【症例2】
32歳女性.健康診断の腹部超音波検査で,膵体部に60mm大の嚢胞性腫瘤を指摘され,当院受診.CT及びMRCPでは,膵体部に主膵管との交通を認めず,増強効果のある被膜を有する,50×30mm大のT1低信号,T2高信号を呈する嚢胞性腫瘤を認め,一部隔壁の存在が疑われた.膵MCN疑いにて腹腔鏡補助下膵体尾部脾切除術を施行した.標本の肉眼所見では膵体部に単房性嚢胞性腫瘤を認め,内溶液は漿液性であった.病理組織検査では単層の立方上皮を認めmacrocystic serouscystadenomaであった.
【考察】
macrocystic typeのSCNはWHO分類ではserous oligocystic adenomaに亜分類され,本邦での2012年度の日本膵臓学会による全国症例調査ではSCNの20%を占めるとされてはいるが,医中誌の報告例はこれまでに16例であった.
自験例では,被膜や隔壁が明瞭ではなく,MRIの信号強度など典型的ではないもののMCNを第一に考え,手術適応と判断したが,最終病理診断はmacrocystic type SCNであった.
macrocystic typeのSCNは稀であり,術前診断は現状困難であるが,手術適応及び術式を決定する際はその可能性も考慮し,腹腔鏡手術や脾温存などの低侵襲手術を積極的に考慮してもよいと思われる.
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