演題

PL5-4

当院における膵リンパ上皮嚢胞6例の検討

[演者] 藤井 能嗣:1
[著者] 西岡 裕次郎:1, 進藤 潤一:1, 橋本 雅司:1
1:虎の門病院 消化器外科

膵リンパ上皮嚢胞(Lymphoephithelial cyst:LES)は膵嚢胞疾患の中で扁平上皮で被覆される嚢胞に分類される比較的稀な良性腫瘍である,中年男性に多く,多彩な画像所見を示し,CA19-9の上昇を認めることが知られている.当院において2000年から2016年までに経験した6例の膵LECの臨床的病理学的 に検討した.
平均年齢46.3歳(29-66歳).男性5例,女性1例.腫瘍部位は1例が体部で5例が尾部に発生した.発見契機は1例に左側腹部痛を認めたが,5例は他疾患のフォローや検診で偶発的に発見されていた.画像所見は,造影CTで単房性もしくは多房性の嚢胞性病変として描出された.腹部MRIは4例で施行され,T1で1例が高信号,2例が低信号,3例でT2が高信号を示した.1例はT1,2で低,高信号が混在していた.2例に拡散強調画像で集積を認めた.腹部エコーは5例で単房性もしくは多房性嚢胞性として描出され,1例は描出できなかった. 血中CA19-9は4例に上昇を認め,平均75.7U/ml(0-211U/ml)であった.術式は開腹膵体尾脾合併切除が4例,腹腔鏡下膵局所切除術が1例,腹腔鏡下膵尾部切除が1例であった.病理は嚢胞上皮に扁平上皮細胞とリンパ濾胞を含むリンパ組織を認め,膵LECと診断した.腫瘍径平均6.6cm(1.3-12.5cm),2例に脂腺様組織を認めた.また,1例の嚢胞内液のCEA,CA19-9の測定し上昇を認めた.6例すべて術前に膵LECの診断には至らず,2例が増大傾向を認め膵悪性腫瘍疑い,1例が膵悪性腫瘍疑い,2例がIPMN,1例が副腎腫瘍の診断で手術となった.
膵LECの嚢胞液の性状によって多彩な画像を示し,他の膵嚢胞性疾患との鑑別が困難なこと,また,隣接臓器の腫瘍と鑑別を要する場合がある.男性でCA19-9上昇を伴う嚢胞性疾患において膵LECも鑑別する必要がある.また,膵LECの診断ができれば腹腔鏡での縮小手術も選択肢の一つとなり得ると考える.
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