演題

PL4-6

膵管内進展を伴う膵腺房細胞癌に対して膵全摘術を行った1例

[演者] 勝又 健太:1
[著者] 小林 慎二郎:1, 小野 龍宣:1, 瀬上 航平:1, 星野 博之:1, 片山 真史:1, 小泉 哲:1, 有泉 泰:2, 高木 正之:2, 大坪 毅人:1
1:聖マリアンナ医科大学病院 消化器・一般外科, 2:聖マリアンナ医科大学医学部 診断病理学

症例は78歳女性.数か月前から続く心窩部痛を主訴に前医を受診した.腹部CTで膵体尾部に腫瘤影を指摘された.血液生化学検査でT-Bil 0.4mg/dl,D-Bil 0.0mg/dl,腫瘍マーカーはCA19-9 17.1U/ml,CEA 2.8U/mlであった.腹部造影CTでは膵尾部に境界明瞭で造影効果の乏しい内部不均一な42×59mm大の腫瘍を認めた.EUSでは膵尾部に境界明瞭な球状の腫瘍で内部不均一に描出された.腹部造影MRIでは膵頭部に3cm大,膵尾部に6cm大の腫瘍性病変を認め,T2強調画像でやや低信号な成分を多く含んだ高信号の球状腫瘍を認めた.また,全ての画像検査所見で腫瘍栓を疑う充実部分を膵頭部の主膵管内に認めた.ERPで膵液細胞診を行い,class V,adenocarcinomaと診断されたが,画像所見は膵癌として典型的な所見ではなかったため,膵管内管状乳頭腫瘍や膵管内乳頭粘液性腺癌,混合型の神経内分泌腫瘍などを鑑別として考え,膵全摘術を施行する方針となった.手術所見で遠隔臓器転移や遠隔リンパ節転移を認めず,主腫瘍も膨張型の発育をしていたので他臓器合併切除は行わず,膵全摘のみで切除することができた.腫瘍は肉眼的に充実性で占拠部位は膵頭体尾部であった.組織学的には,膵管内を主体として好酸性の胞体を有する腫瘍細胞が増殖しており,免疫組織染色でBcl-10に陽性を示し,MIB-1 indexは約30%であり,SynaptophysinやChromograninA,CD10,βcateninが陰性であったことから膵管内を進展し,腫瘍栓との状態を呈した膵腺房細胞癌,pT2N0M0-fStageIBと診断された.
本邦において,膵腺房細胞癌は膵癌の約0.5%を占める比較的稀な腫瘍である.通常,膵実質の辺縁に発生し,その半数が膵頭部に発生するとされるが,主膵管や胆管の変化は軽度であるとされる.医中誌で「膵腺房細胞癌 膵管内進展 or 膵管内腫瘍栓」で検索すると2005年から2014年までで5例の報告がみられた.今回我々は,比較的稀な膵管内に進展する膵腺房細胞に対し膵全摘術を行った1例を経験したため,若干の文献的考察を加え報告する.
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