演題

PL4-5

膵腺房細胞癌切除例の検討

[演者] 椎原 正尋:1
[著者] 出雲 渉:1, 樋口 亮太:1, 谷澤 武久:1, 植村 修一郎:1, 松永 雄太郎:1, 柿本 忠俊:1, 古川 徹:2, 山本 雅一:1
1:東京女子医科大学病院 消化器外科, 2:東京女子医科大学医学部 統合医科学研究所

【背景,目的】膵腺房細胞癌は全膵腫瘍の約0.4%に発生する稀な腫瘍である. 膵腺房細胞癌切除例の治療成績,臨床経過を検討した.
【対象】2000年1月から2016年7月において当科で切除し,病理組織学的検査にて膵腺房細胞癌と診断された5例を対象とした. 性別,年齢,初発症状,部位,画像的特徴,術前診断,腫瘍マーカー,術式,病理学的診断,予後についてretrospectiveに検討した.
【結果】男性1例,女性4例で, 年齢中央値は68(56-78)歳であった. 初発症状・発見契機は,膵炎,黄疸が1例,糖尿病の悪化が1例,定期超音波検査が3例であった. 腫瘍マーカーは,2例でCA19-9が軽度上昇していたが他は正常範囲内であった. 腫瘍の主座は頭部:体部:尾部=2:1:2であり, 4例が境界明瞭な腫瘤を形成,1例は主膵管内に充満する腫瘍であり平均腫瘍径48.4mmであった. 多房性腫瘤を形成している例が3/4で腫瘍の充実部分は造影効果を伴っていた. また,頭体部の病変は尾側膵管の拡張を認めた. 術前に細胞診を施行した2例ではいずれもadenocarcinomaの診断を得ていた. 術前診断は2例が腺房細胞癌,2例でSolid pseudopapillary neoplasmまたはneuroendocrine tumor,他1例はintraductal tubulopapillary neoplasmだった. 術式は,PPPDが2例,DPが2例,DP+横行結腸部分切除術が1例に施行されている. TNM分類はUICC第7版では,非浸潤癌は1例のみ,リンパ節転移陽性は1例のみ,stage0:stageIB:stageIIA:stageIIBが1:1:2:1,全例でR0を得られている. 2例で肝転移再発(術後2ヶ月,5ヶ月)を認め,化学療法(それぞれs-1,s-1/gemcitabine)を施行している. 再発2例のうち1例は術後5ヶ月で再発し術後1.3年で癌死しているが,もう1例は画像上完全奏効を得て8年生存している. 全5例の生存期間中央値は8(1.3-11.3)年であった.
【結語】膵腺房細胞癌は,術前診断に難渋する場合があるが,腫瘍径が大きくてもR0切除後に長期生存する例が存在する. また,再発をきたした場合も化学療法が奏効する症例も存在する.
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