演題

PL4-3

腎癌膵転移切除症例に関する臨床病理学的検討

[演者] 山口 洋志:1
[著者] 木村 康利:1, 杉田 真太郎:2, 今村 将史:1, 河野 剛:1, 永山 稔:1, 水口 徹:1, 長谷川 匡:1,2, 竹政 伊知朗:1
1:札幌医科大学医学部 消化器・総合、乳腺・内分泌外科学講座, 2:札幌医科大学医学部 病理診断科

【背景】腎癌の遠隔転移の中で膵転移は稀であるが,転移性膵腫瘍の原発部位としては腎癌が最多を占める.近年,画像診断の進歩から腎癌膵転移巣の早期発見が可能となり,当科においては予後の改善を期待して積極的な切除を試みている.
【目的】腎癌膵転移の病態を把握するため,当科で経験した腎癌膵転移切除症例の臨床病理学的検討を行った.
【対象と方法】96年4月-16年11月までの当科における膵手術688例中,腎癌膵転移切除は21回(3.05%),18症例に施行された.検討項目は,1) 症例の背景と外科治療内容,2) 膵転移巣組織所見,皮膜形成と皮膜外(膵実質・隣接組織)浸潤,3) 予後,とした.
【結果】1) 18症例(男/女:12/6)中,3例で2回の膵転移切除が施行された.初回膵転移切除時の平均年齢は68±8.9歳.原発腎癌は左(7例),右(10例),両側(1例)で,初回膵転移までの期間(中央値)は115M(0-228)であった.21回の膵転移切除の詳細は,膵単独転移が13回,他臓器転移併存が8回(甲状腺3,肺5,胆嚢1,副腎1,骨1,重複あり).膵転移の局在はPh(7回),Pb-t(11回),Phb(1回),Pth(1回),Phbt(1回).切除術式は,DP(8回, うちSpDP 1,Lap-DP 1),PD(5回,うちSSPPD 2, PPPD 3),部分切除・核出(4回),MP(4回),DpPHR(1回),TP(1回)であり,腎摘と同時施行が1回,合併切除が結腸(2回),胆嚢(2回),肝(1回),横隔膜(1回)であった(重複あり).2) 全例が組織学的にclear cell typeと診断された.切除時の膵転移個数は単発(14回),2個(5回),4個(1回),13個(1回)で,合計41病変が診断され,腫瘍径中央値は10mm (3-75)であった.39病変は皮膜を有し,皮膜形成のない2病変(5.1%)はいずれも腫瘍径50mm以上であり,周囲膵実質や隣接臓器(十二指腸,脾)に浸潤性増殖を示した.皮膜形成39病変中,皮膜外浸潤を5病変(12.8%)に認め,浸潤距離は100-250µmであった.3) 初回膵切除後の5生率は79.5%であり,腫瘍径30mm未満の群は30mm以上の群と比べ (MST=147.7 vs 71.4 M, p=0.0340),膵単独転移例は他臓器転移併存例と比べ (MST=147.7 vs 71.4 M, p=0.0374)有意に予後良好であった.
【まとめ】小さな膵転移病巣は組織学的に浸潤性に乏しい傾向にあった.当科の腎癌膵転移切除例の5生率はこれまでの文献的な報告とほぼ同等であり,腫瘍径30mm未満,膵単独転移の場合,より良好な予後が期待できると考えられた.
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