演題

PK5-7

ITPNとの鑑別を要した胆膵型IPMNの1例

[演者] 丹羽 真佐夫:1
[著者] 川村 紘三:1, 髙橋 啓:1, 栃井 航也:1, 林 昌俊:1
1:岐阜赤十字病院 外科/大腸・肛門科

症例は80歳代の女性.腹壁ヘルニアの精査目的で当院紹介受診し,腹部CTで膵体部腫瘍を指摘された.バイタルサインに異常なく,腹部症状も認めなかった.血液検査では腫瘍マーカーはいずれも正常範囲内だった.初診時CTでは,膵体部に約11mm大のほぼ円形の結節状の腫瘍を認め,約半年後のCTで大きさ14mm大へ増大あり,ダイナミックで膵実質とほぼ同じかやや動脈相で染まる造影パターンを示した.また,腫瘍の尾側には約半年前にはなかった膵管の拡張を認めた.さらに3ヶ月後のCTでも所見はほぼ同じだった. MRIでは膵体部の腫瘍はT1強調像で低信号,T2強調像で淡く高信号を呈した.拡散強調画像では異常信号を呈し,ADC mapでも拡散低下が示唆された. MRCPでは膵体尾部の主膵管に8mm大の拡張がみられ,拡張した乳頭側の主膵管内腔に16×7mm大の陰影欠損様の所見を認めた.いわゆるcork-of-wine-bottle signと思われた. ERCPでは膵体部に14×15mm大の腫瘍あり,造影剤の途絶を認め,画像上は蟹爪様だった.主膵管との明らかな連続性はなかった.EUSでは拡張した主膵管の乳頭側に約14×15mm大の内部にやや高エコーな腫瘍を認めた.膵尾部の主膵管は途中から軽度拡張のみだった.FNAでClass Ⅴ,adenocarcinoma susp.の結果だった.われわれは画像検査から,膵管内に結節性病変ができ,経過によって少しずつ増大し,粘液産生によるものというより膵管に嵌り込んで膵管が拡張したものとしてITPNの可能性を第一に考え手術を施行した.膵体尾部切除術,脾合併切除術,D2郭清を施行した.手術時間は4時間9分,出血量は405mlだった.病理組織学的所見は,IPMC,主膵管型,浸潤型で,WHO分類では胆膵型だった.ただし肉眼的に充実性腫瘍を認めた部分は IPMC,non-invasiveだった. PASは陽性で,免疫組織化学検査でMUC 5AC陽性だったため術前に予想した陰性の特徴を持つITPNは否定的だった.IPMNの亜型ごとについての特徴を含めての症例報告はまだ少ない為,文献的考察を含め報告する.
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