演題

SY13-7

局所進行胆嚢癌に対する治療戦略

[演者] 松山 隆生:1
[著者] 森 隆太郎:1, 平谷 清吾:1, 藪下 泰宏:1, 熊本 宜文:1, 遠藤 格:1
1:横浜市立大学医学部 消化器・腫瘍外科学

【背景・目的】進行胆嚢癌であっても胆嚢壁内にとどまるT2症例の治療成績は比較的良好だが肝十二指腸間膜や肝実質,肝門の血管へ浸潤を来したT3/4症例の治療成績は未だ不良である.今回教室における高度局所進行胆嚢癌の治療の実際を供覧し治療戦略を明らかにする.【対象と方法】対象は1992年4月から2015年12月までに当科で切除した胆嚢癌134例のうち病理組織学的にT3/T4であった進行胆嚢癌43例.①肝門浸潤を認めない症例において,非系統的切除群と系統的切除群の再発形式と生存期間.②肝十二指腸間膜浸潤を認めない症例において胆管温存切除例の再発形式と生存期間.③血管合併切除と剥離面断端(pEM).④リンパ節転移個数と予後.⑤術後補助化学療法と術前化学療法の成績. について検討した.【結果】全例の5年生存率は11.7%.①残肝再発率は非系統的切除群で16.6%,系統的切除群で54.5%であり,生存期間中央値(MST)はそれぞれ23.4ヵ月,16.2ヵ月で有意差なし(p=0.123).肝切除術式によらず予後不良であった.②局所再発率は胆管温存切除群で40.0%,胆管切除群で17.6%であり生存期間中央値(MST)はそれぞれ24.8ヵ月,17.2ヵ月で有意差はなく(p=0.471),胆管切除による治療成績の改善は認めなかった.③血管合併切除は11例(肝動脈4例,門脈5例,動門脈2例で全例胆管切除)に施行し,MSTは10.8ヶ月で非切除化学療法症例のMST,9.1ヶ月と同等で極めて不良であった.5例(45.4%)では血管合併切除を行ったのにも関わらずpEMが陽性だった.④リンパ節転移陽性は31例(72.0%)に認めた.リンパ節転移個数(num1;1-2個,num2;3個以上)にかかわらずMST 21.5ヶ月,17.2ヶ月と予後不良であった(p=0.971).⑤術後補助化学療法は19例に施行し,施行群と非施行群のMSTは 23.8ヵ月,14.8ヵ月で生存期間の延長を認めた(p=0.05).術前化学療法は5例に施行し,MSTは23.8か月で1例で術後43ヵ月の無再発生存が得られている.【結語】pT3/4の局所進行胆嚢癌において,肝・胆管・リンパ節の予防的切除による延命効果は乏しい.必要最低限の切除と術後補助化学療法の組み合わせが重要であるが術後補助化学療法を施行してもMST24か月に止まる.今後は術前化学療法による生存期間の延長を目指すべきである.
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