演題

PK5-4

膵管癒合不全に発生した膵管内乳頭粘液性腺癌(IPMC)の1例

[演者] 松本 圭太:1
[著者] 長田 真二:2, 松井 聡(岐阜大学大学院):2, 今井 寿:1, 棚橋 利行:1, 田中 善宏:1, 松橋 延壽:1, 高橋 孝夫:1, 山口 和也:1, 吉田 和弘:1
1:岐阜大学附属病院 第2外科, 2:岐阜大学附属病院 肝胆膵・がん集学的治療学講座

【はじめに】胎生期に腹側と背側の膵原基が癒合しえなかった膵管癒合不全は本邦では1%前後との報告がある.【症例】67歳,女性.生来健康であったがアルコール多飲による30年来の慢性膵炎にて近医通院中,定期採血にて黄疸(T-Bil:3.3mg/dL,D-Bil:1.9mg/dL)を伴う肝酵素の上昇(AST:260IU/L,ALT:313IU/L)を認め精査加療目的にて当院へ紹介.ERCPでは乳頭の開大はなく胆管の狭窄が高度でカニュレーションは不可能であったため,肝内拡張胆管(B3)からのルートで下部胆管の拡張を促しESTによる減黄を行ったが,この際に膵管は観察しえなかった.CTでは膵頭部から体部移行部位までの主膵管が最大で24mmであり鉤部の末梢膵管の拡張を伴っていたが,腫瘤像などは確認しえなかった.超音波内視鏡にて頭部に10mm大の結節影が描出されたが,穿刺では粘液のみが採取され細胞診を含め悪性所見はみられなかった.以上より閉塞性黄疸を来した主膵管型IPMNと診断し膵頭十二指腸切除を施行した.切除標本上,Vater乳頭に開口している胆管は,副乳頭に連続している主膵管との直接的な交通はないものの浸潤巣による硬化性変化をきたしていた.病変部位は細胞質内粘液が乳頭管状に増殖し,膵頭部・主膵管開口部近傍の十二指腸で,粘液湖内に腫瘍細胞が小胞巣状に浮遊する像を認め,最大径21mmで十二指腸壁への浸潤を伴う粘液高産生性のIPMCと診断された.なお膵癌取り扱い規約第7版では,Phb,TS4(70mm),i-TS2(21mm),CH(+),DU(+),S(-),RP(-),PV(-),A(-),PL(-),OO(-),intermediated type,INFγ,ly1,v1,ne2,mpd(+),T3,N0,M0,StageⅡb,PCM(-),BCM(-),DPM(-)であった.また病理学的にも総胆管は主膵管と交通はなく,膵管癒合不全のWarshawⅠ型と判断しえた.【結語】比較的まれな膵管癒合不全に発生したIPMCで,病態として複雑な経過をたどった一例の経験を受け,文献的考察を加え報告する.
詳細検索