演題

PK5-3

遺伝子解析により進展過程が評価しえたIPMN関連同時多発浸潤性膵管癌の一例

[演者] 唐崎 秀則:1
[著者] 水上 裕輔:2, 吉川 大太郎:1, 笠井 章次:1, 向井 信貴:1, 深堀 晋:1, 前島 拓:1, 河野 透:1, 小野 裕介:2
1:札幌東徳洲会病院 外科, 2:札幌東徳洲会病院

【目的】膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPMN)と浸潤性膵管癌(IDC)を同一膵内に認める場合,IPMNそのものが癌化した場合とIPMNを有する膵からの領域発癌の場合があり得る.両者の鑑別は形態的に行われており,時に非常に困難であるが,各病変の遺伝子プロファイルの解析が有効な場合がある.
【方法】 患者は86歳の女性.食欲低下を主訴に前医で膵腫瘍を指摘され,当院に紹介となった.
膵腫瘍は膵体部と尾部の2カ所に認められた.
膵体部の腫瘍は径16mmで,前方後方への露出が疑われるものの他臓器への浸潤を認めなかった.一方尾部の病変は径50mmで,脾臓,横行結腸に浸潤を認めた.
膵体部腫瘍の頭側と両腫瘍の間には分枝の拡張を認めた.
2016年6月に横行結腸の部分切除を伴う膵体尾部切除を行った.病理学的検索では両腫瘍は独立した中分化腺癌で,拡張分枝はIPMNであった.IPMNと浸潤癌は近接するものの組織学的な移行像は認めなかった.背景膵にはIPMN以外にPanINも認めた.われわれは
2個のIDCとその他の6個の病変(PanIN2病変とIPMN4病変)に対して18個のIDC/IPMN関連遺伝子を含むカスタムメイドパネルを用いた遺伝子解析を行った.
【成績】 2つのIDCはともにKRAS G12RとTp53 R282Wを認めた.膵体部のIDCにはさらにTp53 のイントロンの変異を認め,この病変は膵尾部の病変から派生した可能性が考えられた.両IDCの間に位置するPanINには別のKRAS G12Dを認めた.さらに主膵管のPanINにはKRAS G12V,IPMNにはKRAS G12RとGNAS R201Hを認めた.また,incipient IPMN にはGNAS R201C(KRASはwild-type)を認めた.
【結論】 本例のIDCの背景膵には多彩な遺伝子変異を認め,field defectの存在が示唆された.膵体部のIDCが膵尾部のIDCの膵内転移なのか,共通のprecursorから派生した浸潤癌なのかはなお検討を要する.
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