演題

PK4-3

膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPMN)切除患者に合併する他臓器癌の検討

[演者] 加藤 高晴:1
[著者] 野田 弘志:1, 兼田 裕司:1, 渡部 文昭:1, 遠藤 裕平:1, 齊藤 正昭:1, 辻仲 眞康:1, 宮倉 安幸:1, 清崎 浩一:1, 力山 敏樹:1
1:自治医科大学附属さいたま医療センター 一般・消化器外科

【背景・目的】
膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPMN)は,他臓器癌を高率に合併する疾患として広く認識されている.しかしその一方で,一般人口の癌罹患率と比較した解析があまり行われていない事も問題として挙げられている.近年,比較的大規模な前向き検討によりIPMNの他臓器癌発生率は一般人口の癌罹患率と差が無いという報告が相次ぎ,IPMNに他臓器癌が高率に合併するか否か,改めてその真偽が問われている.今回我々は,病理学的に確定診断がついた切除症例を対象とし,IPMN患者が他臓器癌を高率に合併するかを検討した.
【対象・方法】
1991年3月から2016年11月までに当施設で開腹手術を施行し,病理組織学的に IPMNと診断された76例について,他臓器癌合併の詳細を後方視的に解析した.国立がん研究センターが公表している,本邦における年齢調整がん罹患率の情報,及び厚生労働省が公表している,性・年齢階級別にみた死亡数・死亡率の情報を用い,当施設のIPMN患者における他臓器癌罹患者数と比較しStandard Incidence Ratio (SIR)および信頼区間を算出した.
【結果】
76例のIPMN患者の平均年齢は68.0歳で,男性40人女性36人だった.29例がIPMC で47例がIPMNであった.他臓器癌の合併を22例(28.9%)に認め,その内訳は大腸癌9,胃癌5,肺癌4,膀胱癌3,乳癌2,腎癌2,肝癌2,前立腺癌1,皮膚癌1,胆管癌1,食道癌1,頭頸部癌1病変の計32病変であり,本患者集団における推定発癌数の21.0と比べ,高率に他臓器癌を併発していた(SIR: 1.45, 95%信頼区間1.01-2.03 p=0.043).特に大腸癌に関しては推定発癌数3.60に対し2.5倍の発癌を認めた(SIR: 2.5, 95%信頼区間1.22-4.59 P=0.016).また,胃癌,大腸癌,膀胱癌,前立腺癌,皮膚癌の異時性5重複癌を合併した症例を一例認めた.その他,2重複癌の合併を6例に認めた.他臓器癌の診断時期は,同時性5例,異時性17例でIPMN診断前が10例,IPMN切除後の経過観察中に発見されたのが7例だった.IPMN術後5年生存率は他臓器癌合併例で78.9%,非合併例で71.1% P=0.744と差を認めなかった.
【結語】
切除症例による後方視的解析において,IPMN患者には一般人口の癌罹患率と比較し高率に他臓器癌を合併していた.特に大腸癌を高率に発生していた.
IPMN患者の長期生存を得るためには他臓器癌の早期発見が重要であり,同患者の診療において,他臓器癌の発症も念頭に置いた厳重な経過観察が必要であると思われた.
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